世界の食品衛生基準を横断理解!実務者のための解説書-Codex・ISO・cGMP・Food Code-
「発刊にあたって」より食品の国際流通がかつてない規模で拡大し、原材料調達から製造、流通、提供に至るまでのサプライチェーンが複雑化する現代において、食品安全の確保は各国の行政や企業にとって最重要課題の一つとなっています。こうした状況の中で、食品安全に関する国際的な共通基盤として長年にわたり機能してきたのが、FAO およびWHO が共同で策定するCodex Alimentarius です。
Codex は、食品安全と公正な貿易を両立させるための国際基準として、最新の科学的知見と各国の専門家による合意形成を通じて継続的に改訂され、世界の食品安全政策の根幹を支えています。しかし、食品安全の実務は、国際基準だけでは完結しません。製造現場、加工現場、流通現場、外食・小売現場など、食品が消費者に届くまでの各段階には固有のリスクが存在し、それぞれに適した管理手法が求められます。製造工程においては、ISO 22002-100 およびISO 22002-1 やcGMP(21 CFR Part 117)が品質・衛生管理の基盤を形成し、流通・提供現場ではFood Code が具体的な衛生管理の指針として機能しています。これらの規格・法令は、対象とする現場や管理レベルこそ異なるものの、いずれもCodex の理念を基盤とし、食品安全マネジメントシステムを多層的に支える重要な役割を担っています。本書は、こうした複数の基準がどのように相互補完し、どのように実務へ落とし込まれるのかを理解するために、Codex の要求事項を横軸に据え、ISO、cGMP、Food Code の対応関係を体系的に整理することを目的としています。Codex が示す一般衛生管理の原則やリスクベースアプローチの理念を起点に、ISO の管理要求、cGMP の予防管理、Food Code の具体的な衛生基準がどのように連動しているかを、箇条と共に解説しました。特に、Codex が重視する「科学的根拠に基づく柔軟な運用」や「国際的合意形成による透明性」は、ISO のマネジメントシステム構造、cGMP のハザード分析と予防管理、Food Code の実務的な衛生基準にどのように反映されているのかを理解するうえで不可欠です。
本書では、これらの関係性を単なる比較にとどめず、実務者が現場で直面する課題に対して、どの基準をどのように参照し、どのように組み合わせるべきかを明確にすることを目指しました。また、食品安全の実務は、抽象的な理念と具体的な行動指針の両輪によって成り立っています。Codex の理念を理解し、ISO・cGMP・Food Code の要求事項を適切に組み合わせることで、より実効性の高い食品安全管理が可能となります。
本書が、読者の皆さまが国際規格の背景と構造を深く理解し、日々の業務において最適な判断を行うための一助となれば幸いです。
【目 次】[第1部] Codex「適正衛生規範」に対応する、ISO 22002-100/ISO 22002-1と米国:cGMP/Food Codeの要求事項Codex 適正衛生規範1. 序論および食品ハザードの管理2. 一次生産3. 施設―設備および機器の設計4.トレーニングおよび能力5. 施設―メンテナンス、洗浄消毒および害虫管理6. 従業員の個人衛生7. 運用における管理8. 製品情報および消費者の意識9. 輸 送
[第2部]Food Code(2022年版)の実践的解釈過去のCode のバージョン序 文1.食中毒の推定値,リスク要因,防止策2.米国公衆衛生局(PHS) モデルコードの歴史,目的,権限3.公衆衛生と消費者の期待4.統一規格のメリット5.本編の修正・改良点6.HACCP モデルとしてのコードと他のモデルの取り込みの意図についての議論7.コードの採用/ 認証コピー8.ユーザーを支援する情報9.コード改訂の流れ10.謝 辞第1 章 目的および定義第2 章 マネジメント・人事第3 章 食 品第4 章 装置,器具,およびリネン第5 章 給水・排水・廃棄物第6 章 施設構造第7 章 毒物または毒性のある物質第8 章 コンプライアンスとその実施