『Νοστιμο おいしさの科学』は、複雑で豊かなおいしさの実相へサイエンスで迫るシリーズ書籍です。生理学、食品材料学、食環境、測定・評価の技術、そして食文化。多角的なアプローチによって食のおいしさを、技術や身体性、文化的背景まで含めて探及していきます。
【特集:手打ちそばをめぐる知 ―科学と文化のあいだで】
そばのおいしさは、ひとつではない。
目に見えるものと、見えないもの。そのあいだにあるものを、ひもといていく。一杯のそばから、科学・技術・文化のすべてがみえてくる。研究者から職人、愛好家まで、そばを愛するすべての人に贈る一冊!
電子顕微鏡と数値解析で、“手打ちそば”のおいしさを可視化。道具、そば栽培、そば文化まで――三つの視点で、一杯のそばを読み解く科学と文化を横断する、新しい知の探究。
手打ちと機械打ちのそばは、何がどう違うのか。官能評価とテクスチャー解析、電子顕微鏡による組織観察を通じて、これまで感覚で語られてきた「手打ちのおいしさ」を数値と画像で可視化する。さらに、石うすやそば切り包丁といった道具に宿る物理と職人技、名人の状況判断という「暗黙知」の言語化にも挑戦。北海道のそば栽培、江戸のそば文化、海外の若者がそば打ちに出会う風景まで、一杯のそばが背負う科学と文化を立体的に描き出す。検査結果を踏まえた研究者・料理人による対談も収録。
-目次-カバーストーリー
I そばのおいしさを探る「おいしさ」はどう測れるかテクスチャー測定と官能検査山野 善正
「おいしさ」はどうできているか電子顕微鏡と光学顕微鏡宮澤 七郎・根本 典子・堀田 康明・地家 豊治
達人のそば道①手打ち 手打ちは何を生み出すのか 赤羽 章司②機械打ち 機械は手打ちを超えたのか おびなた
まとめ 検証結果から見えてきたこと
Ⅱ 手打ちそばの道具石臼が挽き出す、一期一会の粉石谷 博道
粒度を残すという設計思想國光社 蟹江 陽介
包丁の切れ味は、そば品質の再現性をどう支えるか
III そばと日本文化SOBAを世界へ生産でも産地でもない、そば文化のこれから中谷 信一・樽井 功・菊地 伸・鈴木 輝隆
手打ち文化を支える現場から北工学園・東川町・全麺協とそばをめぐるチャレンジ松岡 市郎・山本 良明・高石 大地・鈴木 輝隆
美の国の手打ち蕎麦江戸蕎麦ものがたりほしひかる
そばコラム 手打そば 菊谷そばの本質は、自由にある古川 修
-著者-山野 善正(やまの・よしまさ)一般社団法人おいしさの科学研究所 理事長。1938年滋賀県生まれ。京都大学農学部農芸化学科卒業、農学博士。東洋鋼鈑を経て、香川大学農学部教授、同学部長を歴任。退官後、「一般社団法人おいしさの科学研究所」を設立し、理事長としておいしさの数値化・科学的研究を牽引。2017年瑞宝中綬章受章。
宮澤 七郎(みやざわ・しちろう)北里大学医学部組織標本・電子顕微鏡センター所属走査型電子顕微鏡(SEM)観察の第一人者。凍結乾燥・凍結置換などの標本作製技術で知られ、医学生物学電子顕微鏡技術学会名誉理事長・最高顧問を務めた。元北里大学医学部バイオイメージング研究センター長。
根本 典子(ねもと・のりこ)北里大学医学部組織標本・電子顕微鏡センター所属医学生物学分野における電子顕微鏡観察および組織標本作製に従事。北里大学医学部バイオイメージング研究センター前室長。医学生物学電子顕微鏡技術学会監事・前理事長。
ほしひかる特定非営利活動法人江戸ソバリエ協会 理事長。エッセイスト。和食文化継承リーダー(平成5年農林省認定)。第44回食生活文化賞受賞。著書に『蕎麦のひみつ』(メイツ出版)、『新・みんなの蕎麦文化入門』『小説から読み解く和食文化』(ともにアグネ承風社)など多数。
古川 修(ふるかわ・よしみ)東京大学卒業、同大学院修了。ホンダにて先端技術開発プロジェクトの責任者を歴任。芝浦工業大学教授を経て、現在は電動モビリティシステム専門職大学教授。30年以上にわたり蕎麦栽培を続ける。著書に『蕎麦屋酒』『世界一旨い日本酒』(光文社知恵の森文庫)など。伝統文化と先端技術の融合に取り組む。