"自らに由るという意味で自由である。現実のさなかにあって超現実を生きることについての、一種の人権宣言だともいってもよい本だろう。"
──巖谷國士(フランス文学者、評論家、随筆家、写真家)
"めっちゃ面白かった。これは世の正道を拒否し、全く別の法則に基づく妖精的世界への徹底した耽溺の書である。にも拘わらず科学の書であり、この本だけがこの世に存在していないのだ。それは読めば分かる。エレガントで土臭い無意味と無価値の徹底。完全なる自由の書。"
──吉村萬壱(作家)
"ロココ隠秘主義、フェミニズム妖精派、ケイオス・メスメリズムの輝く蜘蛛糸を暗殺者の針で編んだレース状の魔導書、或いは頭蓋内天井画。2025年現在の魔術師、魔女たちが今ここでキメるべき、取り返しのつかない、遠い宣言。"
──磐樹炙弦(現代魔術研究・占師・詩人・翻訳)
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フニェルリリンカ、女性名詞。
──「超妖精は、ポーカーのために配られたカードで、おだやかにタロット占いを始めるだろう。」
シュルレアリスム宣言100周年、フニェルリリンカ元年。 フニェルリリンカとは何か? それはこの世のなかのあの世である。 そのほか、何もわからない。わからないが、この世にうっかり出てきてしまった。 小説、批評、絵、ブックデザインのすべてを百頭花がひとりで手がけ、この問いを追いかけた一冊です。
収録作品
p.7 言いたいことなんか何もない
「ああ、すっかり忘れていた、私は生れてしまったのだった。」 映画館、運命、居心地悪い身体、麗しの女ドブネズミとの対話。生れてしまってどうしようもない、全ての蒟蒻に向けた短編小説。
p.31 幽霊たちの声:新宿駅東口の記録
ある日の啓示──「人間はおどろくほど幽霊に似ている」。となれば、国内屈指の心霊スポットである新宿駅で、方々から到来する“幽霊”たちの声の断片を繋げば「都市によるオートマティスム」が成るのではないか? 2019・20年の記録。
p.39 ヴォイニッチ手稿を読む
ルドルフ2世やキルヒャーも手にした未解読の奇書・ヴォイニッチ手稿。 言語学の才はないが、愛と魔術ならある! 「生涯のバイブルを一冊だけ選ぶとするなら、ヴォイニッチ手稿を選ぶ」と堂々宣言、アナロジー頼りでこの手稿を読むことに。あの世界はいったい何処なのか? どうして植物たちはあんなに奇怪な姿をしているのか? 裸の女性たちは何者なのか? そもそも、この奇書は何のための書物だったのか? 美術(専門分野は違うが)の博士課程でもある著者がヴォイニッチ手稿の〈絵の解読〉を試み、従来の説とは異なる完全新説を提唱。イェール大学が公開する手稿の画像とも照らし合わせながら、じっくり読んでほしいエッセー。 結構真相に迫っている気がする。
p.79 プゥフ嬢
フニェルの家に迎えられた、麗しい、たいそう麗しい猫のプゥフ嬢。 貴婦人にして猛獣の彼女が、日々の遊びを通じてフニェルに教えはじめたのは、この宇宙の空気と時間をめぐる秘技だった。仕事も放り出し、猫の秘技を学び続けるフニェルにはやがて奇妙な力が宿り……。宇宙の謎を明かす短編小説。
p.113 天使業
「生れる前の人間」に物語を与え、生まれさせてやる天使の業。著者が出版社でライターをしていた頃に書いた掌編で、働きたくない気持ちがこれでもかと詰まっている。
p.117 自動的、妖精的──網代幸介の王国
このフェルナンド・ペソア式の画家が描きだす王国には、自動的(オートマティック)にして妖精的(フェーリック)な風景が広がっている。『てがみがきたな きしししし』(2021年、ミシマ社)をとりあげ、網代幸介の超現実を追う論考。
p.129 フニェルリリンカの風景
フニェルリリンカは、この世の中のあの世。その風景を、ボルヘス『幻獣事典』のイメージで、自作の絵と共に紹介する。
p.139 いくつかの絵
最近描いた絵(ペン画)を短い文章と共に掲載。
・《逆立ちダンス》(2024)
・《女王陛下のお遊び》(2024)
・《猫なしニヤニヤ笑い》(2024)
p.142 あらゆることのはじまりかけのはじまり、あるいはフニェルリリンカ宣言
──「超妖精は、ポーカーのために配られたカードでおだやかにタロット占いを始めるだろう」。
ブルトン(1896年生)の『シュルレアリスム宣言』から100年が経った。フニェルリリンカは「この世のなかのあの世」である。"この人生のなかに、あの世のすべてがある"とブルトンに知らせたのは、ほかならぬナジャ──女性であり、貧しく、精神病者として収容された施設のなかで亡くなったナジャ──だった。
超妖精の黄金の瞼は、いま、男たちとは関係なしにひらかれようとしている。 百頭花(1996年生)による女性形の宣言。
著者プロフィール