【紹介】
逆輸入なのか? それとも発祥の地なのか?今やアメリカに逆輸出されるだけでなく世界を席巻するアフリカンヒップホップを徹底紹介!!
コラム:「謎のスマホTecno」「ヒップホップの祖先、西アフリカのグリオ」「MVに登場する珍妙な建造物」「Hiplife, Bongo Flava等サブジャンル解説」等…インタビュー:Collo(元Kleptomaniax), Black Noise, Akatsuki SN等…K’Naan■ソマリア戦乱逃れカナダへNas、Bono、Keith Richardsとコラボする大物!Wizkid■Drake、Beyoncéとコラボしワールドワイドに飛躍するNaijaの巨人!Moonchild■青いドレッドヘアは特許取得済み、自称「女性のオーガズムの大統領」!Ecko Bazz■あのNyegeNyegeから凶暴なインダストリアルビート!DJ Arafat■キングオブCoupé-Décalé、シーンを作った第1世代!Yao Bobby■ノイズインダストリアルに接近するトーゴのシーンを築いた精神の扇動者!Gyedu-Blay Ambolley■1973年ハイライフ大物歌手によるラップ、果たして世界初なのか!?Prophets of da City■アパルトヘイト時代の申し子、有色人種居住区ケープフラッツ出身!Lij Michael■伝統ヨナ抜き音階とヒップホップを融合したKing of Ethio Rap!Cheikh MC■伝統音楽Twarabを融合させたコモロ諸島のシーラカンスともいえるベテラン!
【前書きなど】MPESAというケニア発の決済サービスをご存じだろうか? サファリコム(Safaricom)というケニア最大の通信キャリアが提供するプリペイド携帯に付随のサービスだ。このサービス、チャージした金額を他人に送金できるという特徴がある。そのため、クレジットカードはおろか銀行口座を持っていない人々も使いだし、重要な社会インフラとなっている。年間の取引額は日本円で約5兆円(2018年)。これはケニアのGDPの50%、1年分のケニアの全銀行トランザクション約2倍に相当する。何もないところからのリープフロッギングは中国やインド以上の飛躍といえよう。一方で、石油や鉱物資源頼みの産業構造、食糧自給問題、ガバナンスの向上と、課題が多いのも事実。2022年のブルキナファソ、2023年のニジェールでのクーデター、スーダン危機と、依然政情が不安定なのも気がかりである。そのようなアフリカのHip Hopをガイドするのが本書である。アフリカといってもアラブ世界の北アフリカを除く、かつてブラックアフリカといわれたサハラ砂漠以南(サブサハラ)の地域49か国が対象。東部、中部、南部、西部と国連や外務省に準拠した4つのエリアに分けた章立てとなっている。それぞれの章では、国ごとにアーティストを年代順に紹介、ページを追うごとにその国のシーンがどのように変化していったかの概略が分かるようにしてみた。そのアーティスト紹介ページでは、代表的なディスクをレビュー、ぜひ参考にしていただきたい。また、49か国対象ということで、限られたページ数で掲載しきれないほどのアーティストを発掘。そのためディスクレビューのみのページも用意、こちらも国順、年代順、さらに1アーティスト1ディスクとした。調べれば次から次へと見つかるアーティストに困惑しつつも、重要なキーマンは本文中にて触れているので、気になる方は検索してみてほしい。本来ならばこれらキーマンの詳細も掲載したいところであるが、書籍という物理的制約もあるため、その点はご容赦いただきたい。超マニアックなコレクションというよりは、セレクションとして使ってもらえればと思う。アフリカのHip Hopはローカライズが進み、独自のテイストを持っている。周辺ジャンルと一体化したものもあり、一部にはカテゴライズが難しい部分もある。Dancehallにしか聴こえないが、現地ではHip Hop扱いという例が典型だ。そのため、各章のはじめに、サブジャンル及び周辺ジャンルの解説ページを用意した。また、若手からレジェンドクラスのアーティストへのインタビューを各章に掲載。亡命中のアーティストにも取材した。箸休めとして各章の合間に、アフリカのHip Hop シーンを取り巻くさまざまな事象をコラムとして挟み込んでみた。単純に読み切りのコラムとしても興味深いと思われるので、話のネタに活用していただきたい。表記に関して、地名、政治家や歴史上の人物に関してはカナ表記。アーティスト、レーベル、ジャンル名などの用語に関しては、現地の公用語のアルファベット表記とした。エチオピアとエリトリアのゲエズ文字は分かりにくいので、便宜的にアルファベット表記としている。21世紀は「アフリカの世紀」ともいわれる。進化するアフリカンHip Hopの世界を覗く旅を始めてみよう。
【著者プロフィール】
岩田 宇伯(イワタ タカノリ)昨今話題の早期リタイアFIREならば聞こえはいいが、実際のところ単なるプロ無職。2018年4 月、中国で話題の書となった『中国抗日ドラマ読本』上梓。2020年10月コロナ禍のなか、世界のコロナを集めた『コロナマニア』上梓。2022年、中国のクソ真面目番組からお下劣番組まで網羅した『中国テレビ番組ガイドブック』上梓。局地的に中国ネタの人と認識されているが、本人はオールラウンダーを目指しているらしい。そのため多ジャンルにわたり、わけのわからないグッズをコレクション。最近は機材を揃え自宅にDJブースを設置しマイナージャンルをMix。その流れでレコードやカセットといった音源、隣接するカルチャーをDigっている。日々集めたネタをツイッター(@dqnfr)で発信、おもしろいと思ったらフォロー、RTを。また定期的にそれらをまとめ、トークイベントに出演し披露しているので、機会があればぜひご覧を。