概要珍説・奇説のオンパレード!モアイは古代日本人が造った? シェイクスピアは実在しない? 邪馬台国四国説、謎の台湾アルファベットなどなど、世界と日本の「偽史(ぎし)」にあふれる奇説の真相に迫る。著者略歴原田実(はらだ・みのる)1961年生まれ。歴史研究家。龍谷大学卒業後、1984年から3年半、八幡書店(出版社)に勤務。古史古伝・霊学書籍の広告を担当。その後、広島大学研究生、昭和薬科大学文化史・心理学研究室助手(1990~93年)を経て、歴史研究・執筆活動に入る。またそのかたわらで「市民の古代研究会」代表を務める(2001年~02年)。古代史・偽史・サブカルチャー関係の論考多数。著書に、『と学会レポート 日本霊能史講座』『日本化け物史講座』(楽工社)など。
目次まえがき 3
◆序章
●偽作者と享受者 12偽書作りへの衝動 14コンスタンティヌス帝寄進状とチャタトン偽書 17偽書としての白話小説 18職業的偽作者――シモニデスの例―― 20職業的偽作者――リュカの例―― 22需要と供給 26『ウラ・リンダの書』 27偽史運動としてのナチズム 30
◆第一章 世界の偽史
●イースター島と「海賦」 34イースター島の謎 34ヘイエルダールの実験 37モアイの建造者は日本人? 40天皇家はイースター島から来た? 42喬山の帝像 48倭人はコンドルを見たか? 51「毛翼」はコンドルに非ず 53イースター島はかつて無人島だった 57なぜ「謎の島」となったのか 60
●偽化石と遺跡騒動 64出土品偽作は中世以前から 64ベリンゲル教授の偽化石 65ドーソンと「ピルトダウン人」事件 68「ピルトダウン人」の意義 71東北弁のフガフガ老爺 77「笠石」は遺跡か? 78
●美し国フォルモサ何処 83奇書『台湾誌』 83社交界の寵児 86フォルモサ語と日本語 90知られざる島・台湾 94国姓爺とメリアンダーノ 98栄光と没落 101
●偽史と陰謀 107「偽史シンジケート」の怪 107ユダヤ陰謀論の背景 110『シオンの議定書』 116『シオンの議定書』成立史 118自らの影に脅える陰謀論者 123
●古朝鮮問題 128植民地支配の傷跡 128韓国・北朝鮮学界の古朝鮮解釈 130檀君実在説の狂気と錯誤 134韓国在野史学の勃興 138在野史学者の日本史研究 140未来の超大国・韓国 144偽史シンジケート 146 『桓檀古記』海を渡る 148古代史論争の終焉と傷跡 149古代史論争の原因は日本にあり!? 153
◆第二章 日本の偽史
●「ニセ天皇」興亡史 158ある「拝謁」 158戦前からの熊沢天皇 160憲法改正より皇居を遷せ! 164
●日本史のブラックホール・四国 168阿波邪馬壱国説 168『高天原は阿波だった』 170聖徳太子も阿波にいた? 172その他の四国説 174邪馬台国四国山上説 177不毛なる論争 179聖櫃は四国にあり? 183ソロモンの財宝 188剣山に来たユダヤ人? 189日本民族フェニキア起源説の諸相 193ソロモン秘宝伝説の復活 198忌部氏の伝承 200その他のソロモン秘宝説 203邪馬台国とソロモン秘宝の共通性 204
●前期旧石器遺跡偽造事件 208青天の霹靂 208旧石器時代研究は誤認の繰り返し 212相沢忠洋賞取り消し 214グローゼル遺跡とピルトダウン人 215石器の年代鑑定は困難 218レヴィ・ストロースの影響 220幻の「明石原人」 224前期旧石器探索の迷路 228論文審査システムの倒錯 234国際的信用の失墜 237風化する前期旧石器遺跡偽造事件 241
◆第三章 世界まぼろし偉人伝
●山田長政伝説 244
●シェイクスピアの秘密 260
●アーサー王は実在した? 286
●改竄された好太王碑文 295
◆終章
●現代日本の偽史運動 312『地球ロマン』『迷宮』の時代 312ドラゴン将軍の咆哮 317八幡書店の時代 322オウム真理教の台頭 324「事件」から「歴史」に 329
◆初出一覧 332