第一回笹井宏之賞大賞受賞!
選考委員、激賞!!
「この作者は、短歌の一人称性に、ジェンダーの問題に、なにか大きなものを投げかけている」(大森静佳)
「俯瞰と接近、そのうねりによってこの歌集は、いかにも強いエネルギーを纏っている」(染野太朗)
「柴田の歌のわたしが好きなところは、生きること、生きている社会をまっすぐに問う姿勢である」(永井祐)
「柴田の歌を愛することは、現在の私たちの生をもまた肯定することになるのだろう」(野口あや子)
「歌が発する問いかけは、針のように鋭く真実を貫くのだ。その痛みと輝きに、やはり私は恐れをなす」(文月悠光)
【目次】ぺらぺらなおでん不在通知冬と進化より良い世界さよなら逃げるための舟七月のひとり忍たまが好きだった柏木くん強いとんび生活をするカレンダーを繰る結婚記念日と歯痛ウィンターワンダーランド母の愛、僕のラブ
【栞】
マトリョーシカではない 大森静佳
俯瞰と接近 染野太朗
熱いハートのキュアおでん 永井祐
泡立った波がひいていく、そのさまを 野口あや子
「わたし」に挑む 文月悠光
装画:宮崎夏次系
【歌集より5首】プリキュアになるならわたしはキュアおでん 熱いハートのキュアおでんだよなんの樹か知らないけれど黄金の葉がほろほろとみんなの肩へバーミヤンの桃ぱっかんと割れる夜あなたを殴れば店員がくるいつぶりか消しゴムに触れ消しゴムの静けさが胸へひろがる火曜飽きるほど誕生日してめくるめくまっ白な髪を抱きしめあおう
【著者プロフィール】柴田葵(しばた・あおい)1982年神奈川県生まれ、東京都在住。慶應義塾大学文学部卒。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。