インターネット上で短歌を発表する若者たちが増えている今、彼らが目標とし、強烈な存在感をもつ、加藤治郎。現代短歌を代表する歌人でありながら、仕事人、家庭人としても生きる著者が、その日常を描くエッセイ集。岡井隆との出会い、彗星のように短歌の世界を駆け抜け、二十六歳の若さで他界した笹井宏之の透明な世界、ネット上での新人短歌との出会い……など、歌人・加藤治郎の生き方に触れることができる一冊。
【目次】
Ⅰ 短歌の現代性(リアル)〈リアル〉からの逃走歌葉という夢短歌と社会歌人と一般読者と〈たんかっち〉という挑戦惑星ソラリスカミーユ・クローデル様式の歌人、春日井建美意識の前線を歩んだ人塚本邦雄の魔術新聞歌壇の現在たわむれに母を ほんとうっぽい歌とうそっぽい歌ポピュラリティーの行方同人誌「新彗星」実生活と作歌飛驒へ想像力の回復を笹井宏之への旅泉山へ/平明に、そして深く/四人だけの授賞式/風。そして 笹井宏之君、二冊の歌集/ホスピタリティーということ
Ⅱ 歌人(うたびと)として生きるわが短歌入門青春の空隙を埋めた短歌ビートルズとともに初めての歌会青春五十年選からはじまる短歌結社という名の文学集団岡井隆、最後の歌会生涯歌人、近藤芳美イエス、イエス企業人として五月病/こつこつ/電子の魚/黄金の日々/サティスファクション鶴間公園噴水塔加藤家の日々歌がるたの風景/1+1+1は1/加藤家の旅/父の日に/裸の言葉どこにある/ダブル・ライフ/歌のある家族気ままな日曜少年のころマーケットにて/あつつ/七歳の日記/切手少年/父の車/ベニヤの将棋盤鶴鳴き渡る
あとがき
【著者プロフィール】加藤治郎(かとう・じろう)1959 年、名古屋市に生まれる。1983 年、未来短歌会に入会、岡井隆に師事する。1986 年「スモール・トーク」にて第29回短歌研究新人賞。1988 年『サニー・サイド・アップ』にて第32 回現代歌人協会賞。1999 年『昏睡のパラダイス』にて第4 回寺山修司短歌賞。毎日歌壇選者。Twitter:jiro57。歌集に『マイ・ロマンサー』『ハレアカラ』『ニュー・エクリプス』『環状線のモンスター』『雨の日の回顧展』『しんきろう』。歌書に『TKO』『ゆめのレプリカ』『短歌レトリック入門』。
初出掲載紙:日本経済新聞、朝日新聞、中日新聞、信濃毎日新聞、共同通信、現代詩手帖、短歌研究短歌、短歌往来、短歌四季、玲瓏、井泉、BOOKUOKA、未来、新彗星