紹介人の才や器は人体の一局所の特殊な摩擦経験の有無によって決まるものではない。「独りで生きて何が悪い」と絢爛たる先人たちの姿は教えてくれる
■ロベスピエール 愛したものは女性よりも革命の大義■吉田松陰 回天の志に殉じ、生涯女性を知らぬ教育家■キリスト 世界最大宗教の創始者は、生涯純潔とされるが?■ダヴィンチ 多芸多才の「万能の人」謎が多いその性的志向■カント 赤貧故に愛をあきらめ苦しみの中で枯れ果てた哲学者■宮本武蔵 名高い剣豪の謎多き生涯、生涯不犯か否かも藪の中■ナイチンゲール 「神のお告げ」に従って、生涯純潔で使命を果たす■宮沢賢治 「ほんたうのしあわせ」を追求した童話作家は潔癖な性嫌悪症■マザー・テレサ 神の啓示を受け純潔を貫き弱き人々のため尽くした修道女■ライト兄弟 飛行機を完成させたのは結婚すら入る余地のない絆を持った兄弟■アンデルセン 童話王が失恋続きの結果得たものは清い身体と清い精神と生涯■「一定年齢まで童貞を貫くと魔法使いになれる」「なぜイギリスに童貞偉人が多いのか?」「ラストエンペラーは生涯童貞?」等童貞コラムも多数
非モテでも、異性に興味無くても、子孫を残さなくても歴史に名前を残す事は可能だ!肉体経験を得ないまま死去した歴史上の有名人82 人を取り上げる
目次第1章 古代中世第2章 近世第3章 近代第4章 近代イギリス第5章 近代日本第6章 現代
前書きなど近年、少子化・非婚化が社会的問題となった関係か、「童貞」に関しても注目が集まっているようだ。その絡みで、生涯を童貞で過ごした偉人が話題に上る事もあるらしい。とはいえ、そのような場合、子まで成した偉人がイメージだけで「童貞」認定されることがある。また、無性愛として有名だが実は娼婦を買っていた「童貞」もいる。そこで今回、生涯にわたり異性同性を問わず性的交渉をしなかった偉人について、より確かな情報を求め調査した。結局、真偽の不確かなものが多く、童貞であった可能性がある、童貞であったと考えられるといった、灰色の推定にとどまることも少なくない。だが、少なくとも、歴史研究者や伝記作家の提示する何らかの事実や見解を下敷きにして推論を行い、単なるイメージからのレッテル張りを超える、ある程度説得力を備えた童貞認定を、相当広範にわたって、行えたのではないかと自負している。なお、宗教家については、生涯純潔が建て前になっている宗教の場合、殊更に取り上げないケースがある。ただし教祖だったり、政治家・社会活動家等の性格が強かったりした場合は扱った事例も存在する。またコラムでは、関連した話題について取り扱った。条件を満たさないものの非性愛的なイメージで名高い人物や、興味深い人物についても、ここで多少触れている。こうしてそろった顔ぶれを見ると、実に多彩多才な人物が童貞を貫いているものだ。世間には性経験や結婚の有無で人に上下の格付けをする風潮があり、童貞は侮られがちである。だが、人の才や器は、人体の一局所の特殊な摩擦経験の有無によって決まるものではない、「独りで生きて何が悪い」と、絢爛たる先人たちの姿は教えてくれる。それらを取り上げた本書の存在が、世間の風潮を和らげるのに少しでも役立ってくれれば幸いである。