紹介全国の温泉地にあった性愛シーンの等身大人形や性にまつわる品々を展示した「おとなの遊艶地」――等身大人形製造文化と日本古来の性信仰と娯楽産業が融合した文化装置を訪ね歩き、「身体の観光化」の視点から成立過程と消費されてきた実態を考察する。
目次はじめに――研究対象としての秘宝館
第1章 「秘宝館」とは何か1 性が観光の対象となるということ2 秘宝館をめぐる謎3 秘宝館の歴史と現状4 秘宝館の展示物5 本書の構成
第2章 秘宝館の誕生1 元祖国際秘宝館伊勢館の概要2 秘宝館を生んだ松野正人氏3 秘宝館の誕生を支えた歴史的要因4 「保健衛生コーナー」の医学展示5 医学模型の歴史的な解釈6 医学と見世物の併存
第3章 秘宝館の発達1 温泉観光地に生まれた秘宝館2 温泉観光地に生まれた秘宝館と伊勢の秘宝館との断絶3 大阪万博の影響4 専門家たちが目指したユーモア5 北海道秘宝館の概要6 北海道秘宝館の誕生と改装7 北海道秘宝館の流行を支えた歴史的要因8 医学的要素の除去と性信仰の接合
第4章 秘宝館の変容と新たな魅力の誕生1 アミューズメント志向の秘宝館のその後2 集大成・嬉野武雄観光秘宝館3 熱海秘宝館の現在4 根幹にある参加型展示
第5章 遺産としての秘宝館1 あとから見直される身体模造2 余暇の歴史から見る秘宝館3 ヨーロッパの医学展示と伊勢の秘宝館4 本書の限界と秘宝館の系譜5 残された課題
資料――秘宝館オリジナルソング(元祖国際秘宝館伊勢館、熱海秘宝館、東北サファリパーク秘宝館)
初出一覧/研究助成/調査の記録
あとがき
著者プロフィール妙木 忍 (ミョウキ シノブ) (著)1977年、高知県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院文学研究科応用倫理研究教育センター助教。専門はジェンダー研究。著書に『女性同士の争いはなぜ起こるのか』(青土社)がある。