ぐいのみで少しグレードの高いものを作りたいなということで製作に取り掛かりました。カット数の多い菊繋ぎを用いて、面白いデザインをしたいと考えました。過去のぐいのみのデザインを考えると、側面のデザインと底のデザインを分離して考えていました。しかし、ぐいのみはロックグラスやタンブラーのように側面と底の境界が明確に決まっているわけではないことに気付きました。飲料を飲む形状であるにも関わらず、その形状はどちらかといえばお皿の方が近いということを認識しました。当工房では小鉢もカットしており、その時に用いるようにしていた「側面と底にまたがってつながっているカット」というものをぐいのみでも表現できるのではと設計を始めました。表現できるかどうかはわかりませんでしたが、側面のカットがU字を描いて底に近いところを通過して側面に戻っていくカットを実現できました。上から覗くとぐいのみのカットを見ているというよりは、お皿をカットを見ているような面白みのある表現が出来たと思います。伝統的な菊繋ぎと麻の葉を対面に配置しており、伝統のデザインをベースにしております。しかし、構造は一般的にぐいのみではなかなか行われないものになっており、現代の技術的な要素も含んでいる面白い作品です。菊繋ぎの菊は、長寿や無病息災、高貴、高潔などの意味が込められております。 また麻の葉は健康な時を過ごしてほしいなどの意味があります。2つの伝統的な文様ともプラスの意味が込められたもので、自分だけでなく、プレゼントで贈る際の意味合い的にも良いかと思います。自分用、贈り物、お店のブランドイメージアップなどにご検討頂ければ幸いです。