食品に要求される要件は、美味しさ、健康・栄養、経済性、簡便性、安全性など多岐にわたるが、なかでもまず「美味しさ」が必須の条件である。
食品の素材そのものの味や、美味しさに関連する科学的な現象を正確に理解し、そして調味料や、調味方法の基本を知ることは、食品関連の事業に携わる者にとって必須の要件と考える。
近年、家庭及び外食、給食産業においても、調理済み食品やメニュー対応調味料などを使う頻度が増加している。
したがって、食品の調味は多岐にわたり、素材の味や調味料の成り立ち、使用効果を理解する事が求められる。
また、味や調味料に関する研究や技術も年々進歩している、特に、食べ物と健康、食の安全対策や食品表示などへの対応も重要性が増している。
特に、食べ物と健康とは医食同源と言われるように、切っても切れない関係にあり、脂肪の種類と摂取量、摂取総カロリー、食塩の摂取量、野菜の摂取量などが重要である。
これらを考慮しながら、食品の調味を行うことにより、美味しくて健康に良い食べ物を作ることができる。
企業の研究開発に長い間携わり、その後技術士として食品企業の指導に当たった経験に基づき、太田先生の原著の構成と理念を残しながら、近年進んだ食品調味に関する研究やコク、減塩調味料、調味料の体系的分類、エキス調味料、調味料と健康との関係、調味処方などを中心に改訂させて頂いた。食品の調味や調味料に関連する学生、食品に関連する企業や公的機関の方々への、基礎的な知識として役立てば幸いである。
(「改訂にあたって」から抜粋)
■内容
- 食品の味とは
- 味の種類
- しおから味(鹹味)
- 酸味
- 甘味
- 苦味
- うま味
- コク
- 辛味,渋味,えぐ味など
- アミノ酸およびペプチドの味
- 味覚の諸現象
- 味覚
- 油の味
- 種々の食品中の呈味成分
- 食物の温度
- 味と年齢
- 音と味覚
- テクスチャーおよび色と香りの味に及ぼす影響
- 調味料
- 香辛料