弟子:籐のバッグですか?
師匠:これは網代というものだよ。
弟子:アジロ?網なの?
師匠:杉の皮、桧の皮、竹の皮なんかを使っていろんな模様に編んだもの。
弟子:へぇ。見たことないや。
師匠:数奇屋建築とか寺社仏閣とか古くから伝わる建築物に使われてるんだよ。
弟子:それをカバンに応用したんですね。
師匠:そうそう。
弟子:古網代っていうのは?
師匠:昔に使われていた網代ってことさ。
弟子:なるほど古布みたいなもんだね。
師匠:現代の職人さんの手によってアレンジされたものなんだよ。
弟子:なるほど、だから重厚感があるんですね。
師匠:そもそも網代を用いたバッグはそう多くないんだよ。
弟子:でしょうね。見かけないし。
師匠:ましてや古網代を使った物は相当に希少なんだよ。
弟子:そんな希少なものをどうしたんですか?
師匠:何年か前に仕入れていたのを忘れてた。
弟子:ありがちな話ですね。
師匠:出所は京都くろちくさんだから間違いのない品だけどね。
弟子:今でもあるんですか?
師匠:残念ながらここにしかないね。
弟子:へぇ。
師匠:こんなにたっぷり網代を使っている物はもうないよ。
弟子:随分、値が張るようですが?
師匠:ほんの少し網代を使ったキーケースでも何万もする物なんだよ。
弟子:逆に安い感じなんですね。中はどうなってるんですか?
師匠:非常にシンプルに出来てるね。
弟子:そういう写真もちゃんと使わないとダメですよ。
師匠:すまんすまん。