これは「エロの昭和スタイル」だッ!
都築響一の(品切れになったままの)過去の著書や本になるべきなのに、誰もしようとしなかった作品を電子書籍でお届けするプロジェクト『ROADSIDE LIBRARY』第3弾 『おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち』!!
平成元年(1989)に廃業した北九州市若松のグランドキャバレー・ベラミの昭和34(1959)年から続く30年歴史と、そのステージを飾った踊り子や芸人たちの写真コレクションである。数にして約1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載、前の2冊を超えて2ギガバイト!
(かつては従業員寮だった)ベラミ山荘をFさんが買ったとき、家の中にはさまざまな生活用品から、かつての住人たちの個人的な手紙類まで、膨大な量の物品がそのまま残されていた。キャバレーの備品もたくさんあって、半分途方に暮れながら整理していたところ、写真アルバムや店のマッチといった備品に混じって段ボール箱があって、開けてみたら写真プリントがぎっしり詰め込まれていた。
それはキャバレーのステージを飾った歌手や踊り子、芸人たちの宣伝用写真(ブロマイド)だった。ほとんどがモノクロームのその写真には、精一杯の笑みやお得意のポーズを決めた、タキシードから半裸まで衣装もさまざまな女たちや男たちがいた。安っぽいプリントから生バンドの音楽や、ホステスの香水や、カクテルやタバコの匂いがムワッと立ち上ってくるようだった。いまから50年も前のことなのに。
段ボールから出てきた写真は、数えてみると約1400枚にのぼった。その1枚ずつをスキャンし、裏に書かれた名前を写していく。それは1960年代の夜へと続くタイムトンネルだった。
写真に写っているのは9割方が女たちで、それは時にドレスや着物をまとっていても、ごく少数の歌手や漫才をのぞけば、演じるのが「ヌードダンス」だからである。なかには名前とともに「ピンクヌード」「外人ヌード」「日劇スター」といった特長(?)や、「キャンドルヌード」「夜光ラクガキショー」「金粉ショー」「トップレスシンガー」「コミカルポルノ」「スネークベッドショー」などなど、印象的なキャッチフレーズを冠したダンサーもいて、いったいどんなワザが舞台で繰り広げられていたのか、気になってしかたがない。
なのに彼女や彼たちのことは、数人の歌手以外には、ネットで検索したくらいではひとりもヒットしない。こんなにも無名の踊り子たちがいて、日本各地にあった無数のキャバレーで、音楽と男の視線と酒とタバコの匂いに夜ごと肌をさらし、スポットライトを浴びていたのかと思うと、そしてその記録がまったく残されないままキャバレーとともに消えていったのと思うと、胸が締めつけられるようでもある。ほんのわずかな年月のうちに、僕らはどれほどの記憶を失ってしまったのだろうか。
(序文より)
さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像も、動画ファイルとして付属。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず!
PDFフォーマット 全1409ページ(2.0GB)+動画3本(300MB)特製カード型USB