ゴジラなどでおなじみのクラシック音楽作曲家・伊福部昭テーマの同人誌。熱心なファンたちがその伊福部昭の即席や作品、その水脈を振り返るッ!資料度も抜群なシリーズ。収録内容(掲載順)●演奏会・イベントレポート/タバスコ9924、オリエント・R・マインスキー今回は2022年の年初から本誌発行直前の7月にかけて行われた下記演奏会・イベントのレポートを収録。*札幌交響楽団 第642回定期演奏会└札幌交響楽団 東京公演2022『ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲』*オーケストラ・ニッポニカ 第39回定期演奏会『日本狂詩曲』『土俗的三連画』*「ゴジラ」シネマコンサート『ゴジラ』第1作 全曲演奏*日本フィルハーモニー交響楽団第740回東京定期演奏会〈春季〉『ピアノと管絃楽のための “リトミカ・オスティナータ”』*『特撮大会40年』展伊福部昭音楽友の会・八朝裕樹氏講演
●聖地探訪「青春の跡地」/トヨタトモヒサ今回取り上げる場所は、札幌コンサートホールKitaraの所在地でもある札幌・中島公園内の片隅に置かれた「放送記念碑」。この場所と伊福部昭との関係にスポットをあてる。
●特集:伊福部音楽の怪しげな鉱脈を探る。/阿波守(anatahan)“伊福部作品”を大別する2つの区分、純然たる演奏会用の芸術作品としての「純音楽(純粋音楽)」と、人々の意識への具体的な働きかけを目的に他の芸術に付随するかたちで作曲された「効用音楽」。しかし巷に普及する“伊福部音楽”には、これらの区別にあてはまらないものがあると著者は指摘する。その中から、ジャンルを問わず伊福部の音楽性に着目し思いもよらぬかたちで世に拡める「不気味社」の音楽と、純音楽同様に再現芸術として録音された「海外で演奏された怪獣映画音楽」の2つの鉱脈を追う。また、不気味社の八尋健生氏(不気味社音楽応用解析研究所大所長)インタビューを敢行。
●新連載ミュージック・マイナス・ワンの「道」~伊福部昭の映像付随音楽を聴く~/軟骨数多ある伊福部の映像付随音楽。本誌では研究課題として基礎資料作りを進めており、これまで幾度かにわたってその考察記事を掲載してきたが、今号より、映像に付随する音楽の演出そのものを研究対象とする連載企画がスタートする。その初回テーマは「松竹映画」。その作品群での仕事はいかなるものであったか。鑑賞可能な作品を俯瞰し、その音楽世界に焦点をあてる。
●さかゐまに/九鬼蛍伊福部の晩年、前号で取り上げた『“琵琶行”』とほぼ同時期に作曲された歌曲『因幡万葉の歌五首』。ソプラノ、アルトフルートと二十五絃箏という特異な編成によるこの作品は、伊福部の縁ある因幡国で国司を務めた大伴家持の歌四首、家持の叔母・大伴坂上郎女の歌一首を伊福部が選歌し、曲をつけたもの。基となった歌をあらためて振り返り、それらがどのように歌曲として仕上げられていったかを探求。流通する唯一の録音のほか、鑑賞可能な演奏を網羅する。
そのほか、ニューストピック、今後の演奏会情報を収録。