紹介テクノ、SF、ファッション、建築……あまりに豊穣な革命文化の遺産!ロシア革命直後の1920年代、新しい社会主義文化建設のために生まれた《ロシア構成主義》。なぜこの文化運動が21世紀になお模倣され、あらゆるモードの祖型となったのか? 「住まう」「暮らす」「見せる」「報せる」をキーワードにその実像を描き出した、出色の書き下ろし論考。[図版130点以上収録]
目次はじめに――理念が形態となるとき第1章
色と形の組織学無対象から構成へ抽象と心理第2章
社会主義の造形革命後の芸術政策と前衛たちインフクと構成主義の誕生芸術家は工場へ!──生産主義理論身体を管理する──プロレトクリトの活動センスは誰でも習得できる第3章
社会主義に住まう家具は複数のかたちを持つ労働者クラブ──プロレタリアートの情報センター事物は同志──一九二五年パリの構成主義所有から使用へ──共同住宅が見た夢第4章
社会主義に暮らすアジテーション陶磁器タトリンと素材の文化見せる服/活動する服──生産服と幾何学ドレス第5章
社会主義を見せる世界の解釈から構築へ──リシツキーとスプレマチズム転倒/平面/運動──プロウンとプロウン・ルーム空間を読む、ことばを見る──展示空間としての本視覚の革命/革命の視覚──ラクルス視覚的な織物──フォトシリーズ、フォトエッセイ第6章
社会主義を報せるポスター──イーゼル絵画「以降」のイメージネップと広告──ステンベルグ兄弟、ロトチェンコ映画のモンタージュ理論情報の組織化──クルツィスのアジテーション最後の実験場──『建設のソ連邦』とフォト・アルバムおわりに――コンストラクターは誰か
註あとがき人名索引
前書きなど《構成主義者たちは「デザイン」という概念が生まれる以前、あるいはちょうど生まれつつある時期に、ものづくりを通して新しい生活をつくり、大衆/マスを相手に情報を伝達するという課題に取り組んだ。シンプルで機能的・幾何学的な構成主義の造形は、外見上の新しさだけでなく、社会主義という理念に支えられていた。まさに理念が形態となるとき、ロシア構成主義は誕生したのである。》――「はじめに」より
版元から一言わたしたちの生活をとりまくあらゆるデザインや流行の原点にあたるのが、ロシア革命の前後に誕生した《ロシア・アヴァンギャルド》です。とりわけ《ロシア構成主義》は、革命後の暮らしや文化と密接に結びつけられながら、スターリン時代を経て、独自の足跡をたどりました。この政治と文化の強烈な交錯から、いったい何が生まれたのか? 著者による渾身の書き下ろしとなる本書で、ぜひご確認ください。