稀代の呪物コレクター初の書き下ろし怪談集
◆オカルト好きの人の間でコピーされている謎の留守番電話の音源。赤ん坊の鳴き声と女の人の声が入っている。それを聞いた人には謎の電話がかかってきたり、次々と不思議なことが起きる。◆夜釣りが盛んな港に行ったカップル。そこは自殺の名所でもあり2人は不思議なものを持ち帰ってしまう◆通っていた画塾のアトリエで夜に起きた話。画塾の先生の絵のモデルだった女性が訪ねてきて...◆骨折したおばあさんが入院中、夜中に謎の光に導かれて兵庫県長田の山の村に連れて行かれる話◆関東の古い一軒家を購入した社長。毎夜、中庭から二階へ何かが這い上がる音がする。子犬くらいの大きさのそれは実は...◆亡くなった祖母が枕元に現れて鳥取の橋津海岸に100枚の和紙を並べるよう告げる。それを実行したところ...等、約40話掲載
(『あべこべ』はじめにより)本のタイトルにもなっている「あべこべ」は私の代表作であり、怪談デビューの話でもあります。ちょうど怪談と都市伝説の間のようなお話で、すごく気に入っています。「あべこべ」はひっくり返る、反対、さかさなどの意味があると同時に「此方彼方(あちらこちら)」とも言い換えることができ、いろいろな場所や方向などを意味します。本書に収めたお話はまさにいろいろな場所で、いろんな方から聞きました。怖い話もあれば、不思議な話もあります。いままで聞いてきたなかでも特に気に入っているお話を選びました。彼方(こちら)の世界ではなかなか体験できない、此方(あちら)の世界のお話。『あべこべ』の世界を読んで体験してみてください。
【目次】あべこべ/白い手/予感/傘がない/橋津の海岸/五島のガッパ/犬を飼ってはいけない村/芋虫/転ぶな/鮎釣り/黄昏時に歩く人/迷い家/まぼろしのうどん/マナーさん/犬の話/ガジばあ伝説/シュガーポット/深夜に戸を叩く/不意な来訪者/関東の幽霊屋敷/宿直/飛び降り/高松の幽霊屋敷/沖縄の事故/知らない男がついてくる/インド逃避行記/311/犬鳴トンネル/それに会うと/抱き人形/カミサマ
【著者】田中俊行1978年兵庫県生まれ。怪談・呪物を蒐集するオカルトコレクター。幼い頃から奇怪なものや怪談話を集めはじめる。イベントや配信で怪談師としても活躍。2013年「稲川淳二の怪談グランプリ」、2021年「怪談最恐戦」で優勝。著書に『呪物蒐集録』(竹書房)などがある。YouTubeチャンネル「不思議大百科」「トシが行く」などに出演。