【紹介】CDの売り上げ減に苦しむ音楽業界だが、それに反比例してライブコンサートやイベントは市場規模が拡大している。ライブ産業全体の動向を踏まえながら、ライブハウス・クラブ・フェスティバルなどのイベントから、ストリートや発表会などのミニマムなライブ、インターネットやアキバ系まで、各シーンの状況を活写して、ライブカルチャーの未来を展望する。
【目次】まえがき 宮入恭平/佐藤生実
序章 ライブの世界ライブの可能性への期待ライブが意味するものライブシーンのタイプと特徴ポピュラー音楽の定義ライブカルチャーを読み解く
第1章 予定調和のパフォーマンス――エンターテインメントシーン「文化の殿堂」の終焉文化施設としてのコンサートホールライブ・エンターテインメント市場ライブシーンと有名性有名性の変容予定調和のパフォーマンス
第2章 搾取されるミュージシャン――ライブハウスシーンライブハウスが意味するもの必然性からの誕生ライブハウスのシステム化ノルマ制の弊害ライブハウス・イデオロギー多様化するライブハウス「ペグ」としてのライブハウス
第3章 ディスクとライブのせめぎ合い――クラブシーンクラブとはディスクカルチャーとライブカルチャーダンスの時代フィーバー!ダンスのゆくえディスコからクラブへデータベース化するクラブシーン
第4章 日常と非日常のボーダーライン――フェスシーンライブ・エンターテインメントとしてのフェスクールな資本主義フェスでの音楽の共有日常と非日常のボーダーライン
第5章 見せかけのオルタナティブ――ストリートシーン秋葉原の光と影歩行者天国でのパフォーマンス行政主導のライセンス制度ストリートミュージシャン記号としてのインディーズ偶然的な出会いストリートの政治性
第6章 ヴァーチャルの浸食――インターネットシーン新しいライブの概念ライブシーンの民主化ソーシャル・ネットワークのライブ感同時性の希求リアルなライブとヴァーチャルなライブ
第7章 クール・ジャパンの台頭――アキバ系シーン会いに行けないアイドル地下アイドルの時代アニソン・ブームクールが意味するものポピュラー音楽の不在クール・ジャパンの台頭
第8章 開放されたステージ――発表会シーンライブシーンへの参加音楽を身につけること身につけられた音楽の披露
終章 再び、ライブの世界ライブ概念の変容ライブシーンの流動性と相互横断性二〇〇〇年代のライブシーンポスト3・11のライブカルチャーライブの可能性