ゾンビの脳は、どうなっているのか?
米国の神経科学者ふたりが、大真面目に考えた。ゾンビ研究の最先端、禁断の翻訳!!
***ゾンビ症候群の診断書***病名:意識欠陥活動低下障害(Consciousness Decit Hypoactivity Disorder/CDHD)症状:CDHDは後天性の症候群で、患者は活動を意図的に制御できず、無気力で疲れきったような動きを見せたり(運動感覚消失)、喜びの感覚を失ったり(快感消失)、全般的な言語機能障害(失語症)や記憶障害(健忘症)に陥り、摂食などの欲求行動や攻撃的「闘争・逃走」行動を抑えられなくなる。患者はしばしば、見慣れた物や人を認識するのが著しく困難になり(失認症)、持続性睡眠障害が慢性的不眠症という形で表れた結果、やがて「覚醒せん妄」状態にいたる。患者はまた、反社会的行動パターン(人をかんだり食べたりしようとする)も見せ、そうした典型的暴力行為の標的は生身の人間のみに限られる。いっぽう、ほかの感染者に対しては非常に強い向社会的な行動が表れる。その証拠に、感染者は群れ、「群知能」を発揮する。
【目次】
はじめに 011犠牲を無駄にしてはならない 011
序論 013
第一章 グレイの(ゾンビ)解剖学 023脳スキャナーなしの神経科学 025広範な生物学的コミュニケーション・ネットワーク 029脳のロードマップ 034◉爬虫類の脳 034◉爬虫類脳から人間的ネットワークへ 037◉新皮質 044ゾンビがひしめく地への旅 048
第二章 ゾンビは不死身羊の夢を見るか? 050ハイチのゾンビとナトリウム・チャンネル 052意識のスイッチを入れる 059◉フォン・エコノモの偉業 062◉睡眠と覚醒のしくみ 065一日の再生としての夢 070高速スイッチの重要性 073
第三章 のそのそ歩きの神経相関 079動きこそ命 080皮質経路 084大脳基底核の刺激伝達経路 087小脳路 092◉敏捷なゾンビ 099
第四章 空腹も、怒りも、愚かさも、生きていなければ存在しない 101三つのF―闘う(FIGHTING)、逃げる(FLIGHTING)、そして…… 105怒りの分子 115胃腸で考える(文字どおり) 119大脳皮質下の脳 123
第五章 ゾンビ・アポカリプスに涙はない! 133においは生ける屍の魂を好む 134ミラー、脳のなかの鏡 141感情の神経説をめぐる問題 145
第六章 舌―かんだりもつれたり 151私の叫びが聞こえる? 153◉コウモリの飛行 156◉脳の驚異的な適応能力 160◉人間の知覚はかなり優秀 168「聞こえる」と「聴く」の違い 171◉ヴェルニッケ野 173患者「畜生!」 176
第七章 死者たちの「注意の解放障害」 187脳の視覚地図 190◉左右の区別 194「where」経路 200頭頂葉と注意 202◉注意の解放 205
第八章 ところで、この生ける屍の顔は誰のもの? 211顔認知のさまざまな顔 214戦争と顔認知 217「what」経路 222
第九章 どうして私が私じゃないの? 233「すみませんが、先生、私は歩く死体にすぎません」 235他人の手と意識的コントロール 240
第一〇章 生ける屍の心に輝く永遠の陽光 249記憶とはかくも気まぐれなもの 251◉n‐バック課題 257長期記憶を「長期」にする261ゾンビ・アポカリプスの世界では技能がものをいう 267パペッツの回路と「フラッシュバルブ」記憶 270
第一一章 ゾンビ・アポカリプスと闘う……科学を武器に!ゾンビ症候群の診断書 281脳の乗っ取り……母なる自然流 292◉ありがたくない菌類 293◉支配する虫 295◉ネコの糞で気が変になる 298ゾンビ・アポカリプスを生き抜くための科学 302◉脳刺激(時期尚早につき自宅ではまねしないでください) 302◉科学で立証された生き残り術 311謝辞 316参考文献 ⅴ索引 ⅰ