装幀・装画 宮島 亜紀
たましひは転調をなしすべりゆく銀河に満ちる時間のなかを
浮遊する言葉が一瞬きらめき宇宙空間を彷徨いながらふわりと掌に降ってくる
著者プロフィール
加藤孝男(かとう・たかお)1960年、愛知県岡崎市に生まれる。1984年、窪田章一郎主宰「まひる野」に入会。中京大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程満期退学。博士(文学)。「言葉の権力への挑戦」で現代短歌評論賞(1988)。東海学園女子短大国文学科助教授、カイロ大学客員教授、ロンドン大学客員研究員(School of Oriental and African Studies)などを経て、現在、東海学園大学人文学部教授。歌集に『十九世紀亭』(1999)、『セレクション歌人13 加藤孝男集』(2005)。著書に『美意識の変容』(1993)、『現代歌人の世界8 篠弘の歌』(1996)、『近代短歌史の研究』(2008)、『短歌と俳句はどう違うのか』(2011)、『詩人西脇順三郎 その生涯と作品』(共著、2017)、編著に『新編 二十歳の詩集』(2003)など。表文研(表現文化研究会)会員。現代歌人協会会員、日本近代文学会会員。俳句雑誌「伊吹嶺」名誉会員。抜刀術、兵法を柳生新陰流二十一世柳生延春宗家に、合気道を神之田流宗家、神之田勝則師範に習う。論文に「古武術の身体 ― 柳の風景が象徴するもの」(2011)、「三島由紀夫の剣 ―〈文武両道〉から〈菊と刀〉へ」(2017)など多数ある。
五首
熱帯魚みづいろの海をくぐりゆく冷えしシャンパンを口に運べば
銀河より晩夏の雨は地にそそぐ夏の愁ひを浄めるごとく
植物の胚珠のうちの空にして紺にひろがる宇宙を映す
人間といふ百年の水時計 淡青はそのはじまりのいろ
もうすでに廃墟とまがふ新棟の鉄骨の上に淡雪流る
ユニヴェール
新鋭短歌シリーズ、現代歌人シリーズが生まれ、短歌世界は思いもかけない方向にひろがりをみせている。そして今、新しいレーベルが生みだされる。
ユニヴェールとは、短歌の壮大な宇宙。これからもきっと、新しい歌人との出会いが待っているにちがいない。http://www.shintanka.com/univers