紹介人の命に優先順位をつけることが許されるのだろうか歌集『前線』の犬養楓による、コロナ禍の医療現場の実態を赤裸々に描く初小説。
現役救急科専門医が綴る「命」と向き合う苦悩の日々
新型コロナウイルス感染症の重症患者治療を担う医療施設。多くの生死が交錯するその現場をリアルに描いたこの作品の世界に没頭していると、小説でありながら、ノンフィクションを読んでいるかのような錯覚にとらわれる。意思をもたぬ有機生命体であるウイルスと戦う最前線で、いったい何が起こり、医療従事者たちはなにを思っていたのか、この小説を読むことでそれを感じ取れることができるのではないかと思う。――知念実希人[小説家・医師]
著者プロフィール犬養楓 (イヌカイカエデ) (著/文)歌人・作家。1986年生まれ。現在、救急科専門医として救命救急センターに勤務。第63回短歌研究新人賞候補。2021年歌集「前線」刊行。
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