紹介グーテンベルクの活版印刷の発明と共に、検閲の歴史は始まった。初めは宗教改革のビラ取り締まり、やがて、新聞、雑誌はもちろん、小説、戯曲、詩に至るまで、自らの名誉と立場を守るため、ハプスブルク家の人々は検閲に躍起になっていく。そして、彼らが検閲に必死になればなるほど、次々と抜け穴を見つけていく表現者や印刷業者たちとくり広げられるいたちごっこは、やがて著作権の誕生につながっていく。出版という観点から見た、ちょっとユーモラスなヨーロッパ文化史。
目次序章 「検閲」から何が見えるか第1章 活版印刷は世界を制す第2章 神聖ローマ帝国の検閲事始め第3章 神聖ローマ帝国における検閲制度の法整備第4章 印刷特権第5章 選挙協約と検閲第6章 領邦国家の検閲制度第7章 マリア・テレジア治下の検閲制度の改革第8章 前三月期の検閲事情終章 窒息しそうな検閲の果てに