紹介降りそそぐ小花、時空はゆらぎ、小鳥の侍女たちが行き交う庭園と城館。そこは迷宮?小説と人形が織りなす奇蹟の幻想譚。
第46回泉鏡花文学賞受賞作家 山尾悠子の最新作!!あらたな領域に踏み入る記念碑的小説である。
★物語と人形たちまず山尾悠子による「小鳥たち」という掌篇が書かれ、登場する小鳥たちを人形作家の中川多理が創作した。その人形作品を踏まえて『夜想#中川多理―物語の中の少女』に続編「小鳥たち、その春の廃園の」が書かれ、再び呼応して新たな人形が作られた。それを受けて、最終章「小鳥の葬送」が書き下ろされ、ついに中川多理の手から大公妃が産み出された。
★摩訶不思議な幻想小説の奇蹟の成立山尾悠子の幻想譚は、場面が揺らぐように紡がれていき、確かにそこに伽藍はあるのだけれどもこちらの認識が朧になるという快楽性をもっている。構造はあるが、揺らいでグラデーションでずれていく。その揺らぎに現実の人形が参加しているのだ。
母、娘、そして侍女……幻想の物語、幻想の人形そして幻想の本として収斂する『小鳥たち』。
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