紹介▼“匠の技術”で振り返るビデオゲーム年代記 1971-1989!
▼本書「はじめに」より本書は、1970年代と1980年代のアーケードビデオゲームを支える、さまざまな技術を紹介します。ゲームの内容にも触れますが、ゲームデザインに関する議論や、ゲームの攻略情報については踏み込みません。アーケードゲームのハードウェアとソフトウェアに関して、仕組みが面白い技術、ゲームの世界に進化をもたらした技術の中から、いくつかを選んで取り上げて解説しました。そして、その技術を使っているゲームを紹介しています。人気やプレイヤー評価ではなく技術面から掲載作品を絞り込んだため、やや通好みのゲームも掲載することになり、意外なゲームのラインナップになっているかもしれません。どんな時代背景が各ゲームを生んだのかイメージしやすいように、発売年ごとにゲームを紹介し、さらにその年に起こったできごとも掲載しました。博物館に鉄道車両や飛行機などを見に行くとき、背景知識がなくても楽しむことができますが、内部の構造や鍵となる技術について知っていれば、もっと楽しめます。本書を読んでからゲームを遊んだときに、「なるほど、この仕組みだから、こんな遊びが生まれるのか!」という発見をしていただけたら幸いです。(中略)本書が、レトロゲーム、そして全てのゲームをより楽しむきっかけになることを願っています。
目次■第1部 “侵略者”が街にやってきた(1971-1978)1971年 「コンピュータスペース」キャラクターの形を作り出すダイオードマトリックスの技術1972年 「ポン」プレイヤーの操作を画面に反映させる電子回路の技術1973年 「サッカー」黎明期の日本製ビデオゲームを支えた「ポン」の技術1974年 「スピードレース」臨場感を盛り上げるハンドルとペダルの技術1975年 「ガンファイト」ついにアーケードゲームに投入されたCPUの技術1976年 「ブレイクアウト」一人で遊べるポンを支えたRAMの技術1977年 「スペースウォーズ」精細な宇宙空間を描くベクタースキャンの技術1978年 「スペースインベーダー」処理速度の遅さを逆手にとる技術
■第2部 画面を飛び回る“妖精”たちの物語(1979-1984)1979年 「ギャラクシアン」数々の名作ゲームを生み出すスプライトとタイルマップの技術1980年 「パックマン」単純なロジックで知能を感じさせる技術1981年 「ギャラガ」スピード感あふれる動きを支えるマルチCPUの技術「クイックス」ユニークなゲーム性を実現する塗りつぶしの技術1982年 「ポールポジション」サーキットを再現するラスタースクロールの技術1983年 「ゼビウス」立体感と浮遊要塞を実現するグラフィックスの技術「リブルラブル」新感覚のゲームを支える少し変わった塗りつぶしの技術1984年 「マーブルマッドネス」起伏に満ちた世界を描き出すレイトレーシングの技術
■第3部 リアルな“体感”を支えた技術(1985-1989)1985年 「ハングオン」「スペースハリアー」体感ゲームを支える進化したスプライトの技術「タイムギャル」レーザーディスクの映像をゲームに融合させる技術1986年 「ダライアス」難攻不落のゲームを攻略する連射の技術1987年 「アフターバーナー」「A-JAX」「ミッドナイトランディング」各社が工夫を凝らす3D表現の技術「オペレーションウルフ」撃った場所を検出する光線銃の技術1988年 「ウイニングラン」「トップランディング」本格的な3Dゲームを実現するポリゴンの技術1989年 「キャメルトライ」2Dゲームで流行した回転の技術
著者プロフィール松浦健一郎、司ゆき (マツウラケンイチロウ ツカサユキ) (著/文)【松浦 健一郎(まつうら けんいちろう)】東京大学工学系研究科電子工学専攻修士課程修了。研究所において並列コンピューティングの研究に従事した後、フリーのプログラマ&ライター&講師として活動中。企業や研究機関向けのソフトウェア、ゲーム、ライブラリ等を受注開発している。司 ゆきと共著でプログラミングやゲームに関する著書多数(本書で32冊目)。
【司 ゆき(つかさ ゆき)】東京大学理学系研究科情報科学専攻修士課程修了。大学で人工知能(自然言語処理)を学び、フリーランスとなる。研究機関や企業向けのソフトウェア開発や研究支援、ゲーム開発、書籍や研修用テキストの執筆、論文や技術記事の翻訳、学校におけるプログラミングの講師を行う。