中世ヨーロッパ美術におけるタペストリー(つづれ織り)の最高傑作に数えられる「貴婦人と一角獣 」のリプロダクションです。20世紀中期~末期までフランス・パリで操業していた工房のものと思われますが、タグなどは有りません。
イギリスの古い教会の牧師室に飾られていたものを、その教会の移築の際に引き取らせていただきました。
オリジナルの「貴婦人と一角獣 」は15世紀末にフランスで織られた6連作※のタペストリーで、人間の感覚をテーマにデザインされていると言う解釈が有力となっています。こちらはそのうち「味覚」と題される一枚を復刻したお品で、中心に佇んでいるのが画題にある”貴婦人”その人。横にひざまずく侍女が差し出す杯(さかずき)には糖衣菓子(キャンディー)が盛られており、貴婦人がそれを手に取っていることから「味覚」と名付けられました。彼女の足元では菓子をほおばる小猿と愛玩犬が、その左手には小鳥が戯れ、左右に王権・高貴・純潔を表す獅子と一角獣が彼らを囲むように立っています。画面全体は花盛りの庭園さながら季節の花々で満たされた千花模様で、そこに野兎をはじめ数多の野生の小動物と鳥たちが図象的に散りばめられています。
素材は黄麻(ジュート)をベースに亜麻(リネン)と綿を合わせた混合繊維の織布に、単色刷りを重ねる版画技法で絵柄が印判されています。古典的技法で刷られる壁紙を除き現在はあまり使われていない素材と手法ですが、今日売られているジャガード織りなどの復刻品と比べて一風変わった染地感で、オリジナルの繊細さが良い具合に表現されています。大きさがあり、ディスプレイとして圧倒的な存在感です。
壁に掛けるため後代に設えられた木枠で額装してあります。また生地の状態は破れ等無く上々ですが、やはり古いもののため経年と日焼けによる色褪せがございます。味わいとご理解の上、お求めください。