AMERICAN DREAM
AMERICAN DREAMは2021年春に製作されたFinal Cableです。SERIES-2となります。最新のAIR GND仕様を施した最初のFinal Cableという事になります。
さて、このAMERICAN DREAMの主役は1850年から1853年にかけて製造されたAMERICAN WIREです。当時のアメリカはどんな具合だったかと調べると、
1849年にカリフォルニア・ゴールドラッシュが起こったことで、ウィルモット条項で提起された奴隷制問題を議論の前面に押し出した。カリフォルニアをアメリカ合衆国の州として受け容れることは1850年協定で落着した。この妥協では米墨戦争の結果、獲得した領土の残り部分についてその政治的姿勢が人民主権によって決定されることとされた。逃亡奴隷法に関する議論が続き、党派抗争が常のことになった。1854年、カンザス・ネブラスカ法で新しい州のそれぞれが奴隷制に関する姿勢を決められることとして、ミズーリ妥協を無効にした。カンザス州で奴隷制擁護派と反対派が入植してきて対立し、結果的に奴隷制反対派側が勝ちを収めたことは、共和党の誕生で兆候のあった抗争に火を付けることになった。1861年までにカンザス州がアメリカ合衆国に加盟し、議会の勢力バランスが崩れていた。
1860年にエイブラハム・リンカーンが大統領に選ばれた後、その年遅くから1861年前半に掛けて、南部の11州がアメリカ合衆国からの脱退を宣言し、2月9日にはアメリカ連合国政府を樹立した。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
と、まぁこんな時代だったのですね...。アメリカの内政的な事は置いといてワイヤーの方は凄かったのです。今から168〜171年前に作られた銅線ってなんか興味が湧きませんか? TMDは興味津々でしたね。ワイヤーは古ければ古いほど音質が良いと誰かが言いましたが、それはほぼ当たっていて何がどうなってそうなるのかはわかりませんが音質を聞くとそういう結果になるのです。ちなみに1853年の日本はというと・・アメリカ東インド艦隊が浦賀沖に到着し、明くる1854年にはペリーが再来日し横浜村にて幕府代表との会談開始・・・ってそんな時期なんですね。まぁ、そんな訳でAMERICAN DREAMは栄華を誇った巨大帝国の歴史的財産とも言える貴重なAMERICAN WIREをフューチャーした TMD Final Cableなのです。
AMERICAN DREAM
音が生き生きと生きているんです。
干し草のような音がする。生ギターの音だ。アメリカの乾いた大地、アデルのちょっと掠れて乾いた声が生々しく訴えてくる。ドラムが太くリアルに入ってくる。至福のとき。
とにかく凄く良い! オケに使われるビンテージ楽器総体の年代感というか、そういう物が雰囲気として伝わってくる。このケーブルの持ち味は超の付く現実感、それも芸術的現実感だ。芸術的現実感とは何かというと芸術が我々に突きつけてくるリアリティそのものだ。
これまた干し草のような乾いた..しかも陽光を浴びたようなマチエールを他に知らない。これがアメリカの1850年頃の空気感なのだろうか? いやそんな筈はない、このペンタングルの録音は20世紀なのだから、と言い訳しても収まらないこの空気感の見事さ。ゴールドラッシュのすぐ後でリンカーン大統領の奴隷解放のちょっと前..そんな時代のワイヤーが魔法を演じている。
私の大好きな白人ブルース・ギタリスト、マイク・ブルームフィールドの持つレスポールのギターの音がいい。アル・クーパーの弾くハモンド・オルガンの音もいい。マイクのレスポールは私の記憶色音色にほぼイコールだ。原体験が蘇るこの音、大好きな音がもろび出る。
いいなぁ..、歴史を再演すること、その感慨に耽ることができるこの音色。感動の連鎖が続く。何故か懐かしく涙が溢れてくるかのような感慨。
いやぁ、音が生き生きと生きているんです。では死んでいる音はどんなかというと冷たく硬直し暗い陰気なものです。これはそれと正反対の音で血が通い、呼吸を感じる音、生命の鼓動のような音。
いいなぁ、この音。何とも言えない。とにかくいい音なのだ。心が温かくなる。短いが、これで評価としては十分だろう。
演奏が始まる前の客席に運ばれるカクテル・グラスが触れ合う音からスタート、そこからシンバルが入り楽器がだんだんと増えて行く..。このシーンが音により完全に視覚化される凄み。演奏が始まってからのピアノやライド・シンバルのリアルさが超自然。