伝統的なデザインを多く作っていたので、直感的、アート的なデザインを作りたいと思い、構想を始めました。最初は仮称ストリームワイングラスとして、4本の線が横に波形を描くデザインとして考え始めましたが、ありきたりだと思ってすぐにやめました。直感的作品を作るということで、それからとりあえず紙に思いつくがままにボールペンで色々書いてみました。個人的に取り組みたいダークな世界観を表現したいと思い、2つの曲線の真ん中に瞳を削ることで目としました。また目の様々なパターンや、目の間に波形の線を1本入れる、などの案もいくつか考えましたが、デザインとして収まりが良くなく、切子らしさも薄れると思い、現在のシンプルな形となりました。名前は「群衆の目」にしました。他の製品は全て「~ワイングラス」とワイングラスを後ろに付けた名前にしておりますが、ダークな世界観をじんわり感じてもらいたかったので、ワイングラスという部分は外しました。シンプルながらにこれ以上付け足すと蛇足になってしまう完成された型になったと感じます。目の部分は消し加工で擦りガラス状になっております。精気が無い冷ややかな目を意識した調整となっております。下部のカットがかなり急激に曲がっており、ワイングラスの側面が丸い形状だからできるカットとなっており、デザインを作る上でのこだわりになっております。同じような曲線をロックグラスやタンブラーでやろうと思っても表現できません。当工房では直感的、アート的なデザインはあまり作っておりませんので、なかなか希少なデザインです。自分用、贈り物、お店のブランドイメージアップ等にご検討頂けると幸いです。