新しい型としてブルゴーニュ型のワイングラスの製作に取り組んでみました。
江戸切子の世界ではロックグラスやぐい呑みが中心であまり見かけない型かと思います。
お酒の中でも樽で寝かせることで樽の色味が着くウイスキー、テキーラあたりの蒸留酒とワインはお酒の色を楽しみたいという人が多いと私の中で認識しております。
実際にパーティでお会いした方がウイスキーが好きで色を楽しみたいので、透けてる部分があると嬉しいという話になりました。
そこで、ブルゴーニュ型のワイングラスの第一弾としてはお酒の色を楽しめるように考慮しつつ、基本である伝統的なデザインで切子の美しさと融合したものを作成しようと考えました。
「徳利・竹林」のように縦に32本もの線を入れることでシンプル、かつ全体としてグラスが透けるようにデザインを調整しようかと思いました。
しかし、もう少しグレードの高い物の方がワイングラスを使うユーザーには喜ばれると想像出来たので、気合を入れてグレードアップさせることにしました。
基本の32本の縦線をカットすることをベースに、三種類の縦に伸びる「帯(おび)」の部分を作りました。
江戸切子の伝統的な文様である「菊繋ぎ(きくつなぎ)」「麻の葉(あさのは)」「十草(とくさ)」を配置して伝統的なスタイルを重んじています。
菊繋ぎは無病息災、長寿祈願、高貴など意味合いがあります。
帯としてポイントでスッと入れることで高級感を演出しております。
また、菊繋ぎは色を全て取るカットなので、お酒の色も十分に楽しめるかと思います。
麻の葉の見え方ですが、黒の線で囲んだような感じで見ます。
縦横斜め45°の線で構成されているので、四角の中に×があるようなデザインに見てしまいがちですが、上のように見ます。
麻は成長が早い植物で、子供が早く育つことを願ったり、健康の願いを込めたりした伝統的な文様です。
最後に十草の帯です。
9本の線を縦にカットした構成になっております。
何本の線を入れるかは作り手次第ですが、この製品の場合は9本入れています。
上から覗くとわかりますが、十草が4本に、菊繋ぎ2本、麻の葉2本という構成になっております。
上から覗いた三つ帯ワイングラス
菊繋ぎと麻の葉はそれぞれ対面に配置しております。