ブルゴーニュ型のワイングラスの第四弾ということで製作に取り組みました。
よくわからない方は前のページの「ワイングラス一覧」にワイングラスの型の説明をしておりますので、ご確認下さい。
第三弾の海中ワイングラスを製作した際に、ブルゴーニュ型の丸いボウル型だからこそ、側面を丸く擦ることができるということに気付きました。
なので、他のグラスではできないデザインとして第四弾も丸を取り込んだデザインにしようと考えました。
最初は丸く擦って、丸い月と流れ星みたいな夜空をイメージしたデザインを作ろうと思いましたが、初心者でも作れそうなデザインってことでやめました。
※第五弾で作るかもしれないです。
しかし、星のイメージは使おうと思って、曲線の交点を星にして、それとの対比で直線をカットして、その交点を丸く擦ろうと思いました。
つまり、以下の2つが入り混じって融合したデザインを目指しました。
・基本は直線だが、丸い部分を含むデザイン
・基本は曲線だが、直線的な部分を含むデザイン
お互い相反するデザインなのに、お互いに相手側の性質を持つデザインを一部保有するというデザインということです。
これがデザインの初期案だったのですが、ワイングラスの表面積、キャンパスの広さの関係上、デザインが入りきらないというところに行きつきました。
そこで、曲線部分を直線にしました。
それを実際に出来たデザインに当てはめると白い線のようになります。
初期案の構成に似ていますよね。
星の繋ぎを曲線ではなく直線にしているのです。
実際に削ってみると、採光が少なめでグラスが暗い印象を受けました。
そこで、綺麗に見えるようにアドリブで追加のカットをかなり施して現在のデザインになりました。
アドリブのカットの線は菊繋ぎという伝統的な文様がベースになっていますが、菊繋ぎそのものではありません。
しかし、ご覧いただいている通り、線の構造はとても複雑です。
通常、菊繋ぎをカットする場合は菊繋ぎ単体で完結してしまうデザインで、そこに何かを入れ込む余地はほとんど無い完成されたデザインです。
しかしこのデザインはその菊繋ぎベースのカットの中に丸が入っているという目からウロコの仰天デザインです。
そういうデザインに行きついたのも初期案の構想がしっかりしているからこその結果です。
重要な設計図なので普通は外部には見せませんが、面白いかと思うので見せられない部分を黒塗りして少し公開します。
丸が直線で色んなところに繋がっているというのは実は最初から
「丸が人を表して、それが色んな人と繋がって、支えられて生きている」
という表現にしたかったのです。
色んな人と繋がるワイングラスということで
・ネットワークワイングラス
・www(ワールドワイドウェブ)ワイングラス
とかいう名前しか製作中は出てきませんでした。
日本の言葉で「人と繋がる」を端的に表す言葉なんてあったかなぁと完成してから名前をちゃんと考え始めましたが、1時間くらい適正な言葉が出てこなかったです。
「縁(ゆかり)」という言葉を思いついたのは1時間後でした。
人と繋がって助けられて生きているということは、正にご縁だなぁと思ったのです。
今こうやってみなさんがこのホームページを見ているのも1つのご縁だと思います。
ぜひこの縁(ゆかり)を楽しみましょう。
※ご縁の意味と縁(ゆかり)ワイングラスの意味のダブルミーニングです。