「菊籠目に菊繋ぎタンブラー」と同じデザイン構造で、オリジナリティを抑えて伝統的なデザインでありながら、よりグレードの高い作品を作ろうと考えた作品です。デザインの意図するところは「下部がクリアに透けていて、飲料の色を十分に楽しむことができる」というデザインがベースになっています。通常作る切子よりもグレードを上げている部分は・難易度の高い八角籠目のカットを、難易度の高い小さいサイズで削った。・口元を傾斜をつけて擦り、口当たりを良くした。・側面にざっくりカットを入れて、切子特有のエッジの手触りの良さを追加した。・側面の大きな平は当工房の割と特殊な機材でカットしているので、他の職人さんでは多分表現できない。・底全体の色を抜くことで、クリアの抜けを良くして綺麗に見えるようにした。切子作家の松田さんという方は20年近く八角籠目あたりの伝統的な文様を主として削ってきた方で、尊敬の念も含めてその方の作っている八角籠目のサイズと同じサイズにて製作しております。20年も八角籠目を削っている職人さんが削るサイズの八角籠目なので、かなり難しいレベルのところでカットしていると認識して頂けると、グレードの高さを感じてもらえるかと思います。グラスに設計図を書き込む際は、八角籠目の部分だけマス目をかなり細かくして調整しています。底の色を抜くのは現代では、ほとんどの工房がやっておりません。正直、私以外にやっている職人は見たことがありません。底の色を抜くとクリアの抜けが良くなり、とても美しく見えます。元々は江戸切子と言えば、底の色を全て抜くのが主流だったそうですが、今では作業工数がかかるなどの理由からか他にやっている職人さんを見たことがありません。口元は10パターンくらい削って、半円状に擦るのが一番口当たりが良いと断定しましたので、その形状を採用しております。構造的にはグラスの真ん中らへんを伝統的な文様で帯状にぐるっと一周削るというベーシックなデザインです。しかし、細部や使い心地なども考慮してこだわることで、他の職人さんがやらないことや多分できないことがそのままデザインの差別化になっているかと思います。切子工房 箴光の知恵と技術が詰まっているグレードを上げた伝統的なデザインです。自分用、贈り物、お店のブランドイメージアップなどにご検討頂ければ幸いです。