種子ショットグラスはとりあえずのショットグラスのデザインの最終弾として製作したものです。
とりあえずの一区切りになるので、自分の創造の力をフル稼働させてオリジナリティ溢れるデザインを作ろうというのがテーマです。
世の中のコンテストにも応募できるような力の入ったデザインの作品を作ろうという気持ちです。
当初は矢来に玉(たま)を配置する「玉矢来ショットグラス」という製品の試作をしていました。
試作なので色々考えついたものを削っている写真です。
しかしこれだとデザインのパンチが弱いと思い、試作と改善をかねてさらに色々削りました。
朝の7時にデザインを考え始めて、夜の7時まで飲まず食わずで12時間工房にこもって、考えたり削ったりしてました。
そして、夜7時に「ダメだ~!ユーザーの心に突き刺さる良いデザインが思い浮かばない!」とノックアウトされて、工房の床に寝転んで試し切りをしていたショットグラスをぼんやり見ていました。
しかし、この適当に試し切りしたショットグラスを眺めていると「なんか植物の種みたいだな」と思いました。
ここからデザインを引き算することと、線が通る場所を明確にしてきれいにカットすれば良いものが出来そうだと直感で思いました。
それで出来上がったのがこの種子ショットグラスです。
種の周りは植物のツタのイメージです。
すなわち、ジャングルのような植物が茂っている中で、ツタをかきわけた先に偶然発見した美しい種という風景を考えています。
こんなに美しいデザインは自分の作品の中には無いと思い、間違いなく傑作だと思いました。
デザインの構造は正直複雑すぎるので、ここで全てを説明するのは難しいです。
図面に従って少し解説しますと、ラグビーボールのような形の種子の部分は
1.直線
2.弧
3.弧だが、線はつなげていない
4.弧だが、線が交差する
という基本構造になっています。
全てが弧でカットされているわけではないので、パッと見た時に奥深さを感じられるかと思います。
また底の形状は図面の通り、主となる1の線に対して、2の線を余白と等分する形でカットし、さらに3の線を余白と等分する形でカットしていくという独特な方法でカットしています。
この余白を等分していく手法は種子の線が集合する合わせの部分にも使用されており、そのデザインと統一するために底をカットしています。
写真の通り、2つの線の間に次の線を削っています。
わかりやすいように黒い補助線を入れてみました。
側面と底の線は連結させず、側面と底の境界部分で合わせになるようにしてみました。
このような感じで構想して製作していますが、正直伝わらないかもしれません。
とにかく、「こういう法則性を考えながらきっちり考えたデザインだからこそ美しく見える」ということだけ理解してもらればと思います。
植物のツタをかき分けるとそこには今まで誰も見たことがない、きらめいている美しい謎の植物の種があった。
この種はきっと努力という水により、君だけの美しい未来を咲かせるのだろう。