伝統的な文様である六角籠目(ろっかくかごめ)をメインに据えたデザインが無いということで、製作に取り掛かりました。六角籠目は竹かごの編み方の1つで、切子以外にも日本で昔から用いられている伝統的な文様です。魔除けや力の増幅といったような意味合いが込められておりますので、今後をパワフルに乗り越えていきたい人にプレゼントしたりすると良いかもしれません。六角籠目をバーン!と見せたかったので、六角籠目の上下をクリアにする形で六角籠目に自然と視線が集中するデザインにしました。また六角の4つ置きに平透かしを食い込ませて一体感を出すデザインとしています。六角は1段に12個存在します。2段目は3個の六角が続いた後に4つめに平透かしを六角籠目に食い込ませています。単純に上半分を六角籠目、下半分を平で削るというデザインではオリジナリティが薄いなということで、他の職人では計算が難しすぎて絶対やらないであろうデザインにしました。六角籠目の文様自体が実は非常に難しい文様です。わずかほんの1mmでもカットする位置が違うと、六角が崩れてしまいます。1mmということは線同士のカットの太さが少しでも違うことでも六角が崩れてしまいます。ゆえに六角籠目という伝統的な文様をデザインに選択している切子職人はかなり少ないです。単純そうに見えて緻密に計算されてきれいな六角形は出ています。計算の出来ない江戸切子職人は間違いなく六角籠目のデザインを作ることができませんので、豆知識として覚えておくと面白いかもしれません。口元全体は0.1mmほど薄く削って透かしています。これは切子職人の世界では剥き(むき)と呼んでいる技術です。わずか0.1mmという世界なので、口元の耐久性にはほとんど全く影響しないのでご安心下さい。またウイスキーを飲む人がお酒の色を楽しむために切子の色が少ない方が良いことも理解しています。嗜好に沿ったデザインになっているのではないでしょうか。自分用、贈り物、お店のブランドイメージアップなどにご検討頂ければ幸いです。ウイスキー用のグラスを想定したものに先ほど少し紹介しました「平透かし菊繋ぎロックグラス」もございますので、ご確認頂ければと思います。