方針としては手の込んだプレミアム作品の中に今までに無い全く新しい作品のデザインを作ることとしました。
プレミアム作品を見ると、おおむね八角籠目、菊繋ぎ、菊籠目などの工数のかかる伝統的なデザインを盛り込んだ作品が中心となっており、伝統的なカットに頼った作品作りが多いような気がしました。
そこで色々検討した結果、シンプル作品の竹林ロックグラスのような縦線を主軸として、グレードの高い作品を作ることを命題としました。
シンプル作品の矢来ロックグラスを極限までデザイン追求したものが底合わせ四つ矢来ロックグラスということもあり、竹林ロックグラスの縦線を極限まで表現したらどうなるだろうというところを考えて製作に取り掛かりました。
試作段階の話をすると長くなるので、ざっと紹介します。
1個目の試作です。ノートに書いた絵のように削ってみたはいいものの、全くデザイン性の良さを感じず、ボツになりました。
2個目の試作のデザインです。縦の線を細かくカットして、高さを変えることで円形を作り出そうというアート的なデザインにしようとしました。
おおむね、これで行けそうだと感じました。
2個目の試作の結果。おおよそ絵にかいた通りのカットとなりましたが、実際に削ってみてデザイン性の良さを感じず、これでGOは出せないなということでこれもボツになりました。
仮称「ヴァーティサークル」という型で進行していました。ヴァーティカル(垂直)とサークル(円)の言葉を組み合わせた造語です。
この時点でデザインを製作してから8日間経過しています。
ヴァーティサークルの何がいけないかというと、ヴァーティサークル部分だけのデザインを製作することに全部の力を使いすぎて、他の部分のデザインがおろそかになっているということに気付きました。
そこで、ヴァーティサークルの型をベースに直感的にカットを施し、下のような現在の完成系の原型に近いようなものが出来上がり、方向性が見えました。
完成形の原型。プロトタイプ。
各部のちょっとしたデザインを修正して、現在のデザインの形となりました。
サークルの形状は失われましたので、ヴァーティサークルから正式名称「ヴァーティカル」という型名に決定となりました。
正面はヴァーティカル(垂直)線によってデザイン性の高いエンブレム状になっております。製作者的には茶道の茶室の窓のような、日本家屋と言いますか、和のテイストを感じます。
90°横に傾けるとこのようなカットになっております。
2個目の試作段階でグラス全体のカット量がとても多く、色残り部分がほとんど無くなってしまい、デザインのバランスが悪くなってしまいましたので、意図的に縦方向に全くカットを入れない部分を作り、全体の調整を図りました。
上から見た際に、その色が縦に残っている帯の部分がデザイン性の高さをかんじさせる要素にもなっております。
この美しい切子を贈り物としてご選択頂いたら相手の方も心から喜んで頂けると確信しております。
自分用、贈り物、祝い事、インスタ映え等にご検討ください。