創作寄りでグレードの高い作品を作ろうと思ったのが初期の構想でした。
初期の構想のデザイン帳。
テーマは植物感を出したいと思って、大樹に当たるカットを構想して、そこからデザインを広げていきました。
製作途中の写真。
大枠の構造が非常に複雑なのがわかるかと思います。
ここまで複雑なデザイン性の高い切子を製作する職人は日本でもそんなに多くないということは断言します。
側面の大部分を占めるのは伝統的な文様の「菊繋ぎ」と「八角籠目(はっかくかごめ)」です。
菊繋ぎには無病息災、長寿、高貴などの良い意味が含まれるものです。
八角籠目は竹籠の編み目から来ている伝統的な文様で、植物がテーマのこの作品にマッチした文様選択です。
また菊繋ぎと八角籠目のサイズ感をご覧ください。
ここまで細かく削れる職人は日本でもそんなに多くありません。
テレビで取り上げられるような有名な職人も大体はこの菊繋ぎの2倍くらいの大きさのサイズ感でしか削れていません。
菊繋ぎと八角籠目を削るとそれなりに見れるデザインになるので、デザイン性を放棄した「デザインを考えることから逃げた作品」が世の中にはたくさんあります。
多めに菊繋ぎと八角籠目の面積を取っていますので若干逃げに入っていますが、先ほど説明した全体像の複雑な構造がデザイン性を維持しておりますのでバランスは取れているかと思います。
私が今まで作ってきた作風から意図的に少し外すことで、皆様の選択肢が増えることを狙って意図したデザインとなっています。
グレードが高い特別な作品なので、サブタイトルがあります。
「pray to future(未来への祈り)」という副題を付けています。
主題と副題が相関関係にあるという設定でデザインを構築してきました。
未来への祈り→未来祈り→未祈り→実り
未来への祈りはいずれ実りとなって人生の輝くハーベスト(収穫)となることでしょう。
自分用、贈り物、祝い事、インスタ映え等にご検討ください。