小鉢・果実

先に考えた小鉢のデザインが伝統的なものが多かったので、少し面白みのあるものを作ろうかと考えました。

私自身も切子の小鉢を使用して食事をしていますが、生野菜を入れたりして使っています。
なので、食事に合うように小鉢自身にも何かフレッシュさを感じられるようなデザインを施したいと思いました。

小鉢の形状は底と側面の境界があいまいで、上から見ると円形に見えるのが特徴です。
コップ上のものでは表現しにくい円形のデザインができるので、そういう方向性にしたいとも考えていました。

それで思いついたのが「グレープフルーツ」です。
このデザインはグレープフルーツを輪切りにしたときの感じを表現しようとしています。
グレープフルーツの果実の粒の配列を何個も確認して表現しました。
菊繋ぎ部分と麻の葉部分はスプーンですくって食べてしまった部分ですが、中心部に近いところの実がうまくほじくれずに残っています。

果実の部分を全てカットしてしまうと切子的な美しさが半減してしまうので、果実部分や菊繋ぎ、麻の葉のカット量の多い部分に対して、その間にカットをしない部分を入れることで明暗の調整を取っています。

伝統的なデザインではありませんが、切子のデザインから逸脱しないでオリジナリティを盛り込んだ面白みある作品です。

ちなみにグレープフルーツの和名は「グレープフルーツ」だそうです。