私が手掛ける切子はサービス精神でデザインを詰め込んだものが昔から多く、修業時代に先輩方に「引き算の美学もあるよ」ということをよくお聞きしました。
今でもデザインは創意工夫、なんかそれって面白いよねっていう発想を盛り込む方針でやっておりますが、このデザインは「引き算の美学」を自分なりに表現した作品です。
シンプルですが、上品さが漂う素敵なデザインになったと思います。
ベースとなっている七宝は、円形が無限に繋がっていく様子から、人のご縁がずっと続いていくようにという円満で人と人との和(輪)の大切さの意味合いが込められている縁起の良い柄です。
また仏教で述べられている「金、銀、水晶、瑠璃(るり)、瑪瑙(めのう)、珊瑚(さんご)、しゃこ」の七つの宝を表現し、あらゆる宝物が手元にある状態、つまり財産があり、繁栄している状態、裕福になるようにという意味合いも込められています。
その七宝の中心に丸い玉(たま)、転じて玉(ぎょく)を配置しました。
「玉(たま)」は球体を表す意味の他に「とても大切な物」という意味がございます。
玉座(ぎょくざ)、玉将(ぎょくしょう)、玉露(ぎょくろ)など全て「とても大切な物」という意味でつけられています。
玉は消し加工により、擦りガラス状に仕上げてあります。
玉七宝は当工房のオリジナルデザインなので、シンプルさの中にもオリジナリティが少し加わっています。
フルートシャンパン自体の原価が他のグラスより高く、割高になってしまいますが、それでも値段を抑えている方です。
気軽に切子でシャンパンを楽しみたい方はぜひ御一考下さい。