『メンバーシップ型』でも『ジョブ型』でもない、2つを超越した人的資本経営の姿がここにある
90年代初頭のバブル崩壊から始まった長い停滞は、ついに失われた30年となってしまいました。なぜ日本の停滞はこれほど長く続いたのでしょうか。我々は「ひと」を十分に生かすことができなかったことが、長期停滞の原因と考えています。
DX、SX、新規事業創出、働き方改革…。様々な改革が声高に叫ばれていますが、今、日本企業に本当に必要なのは抜本的な変革です。そしてその変革を実現するうえで最大の課題は「ひと」、つまり "人財"の変革が不十分なことです。日本政府は2022年8月に「人的資本可視化指針」を発表しました。そして2023年3月期決算以降は、大手企業4000社を対象に、有価証券報告書に人的資本情報を開示することを義務化します。但し、この人的資本開示も、表面的KPIとなる可能性が否めません。
では日本企業が新たな成長フェーズに向かうための"人財"の変革とは。
本書では日本特有の雇用環境を踏まえた"人財"の変革、「人財トランスフォーメーション」の進め方を解説します。
*著者と「伊藤レポート」の伊藤邦雄・一橋大学名誉教授との対談を収録。
目 次
第1章失われた40年にしないために日本企業は本当に「ひとを大切に」してきたのか
1 30年続く日本経済の停滞イノベーションが起こせない日本。データから現状を再確認する生産性は向上したが…2 この30年に何が起こったのかVUCAの時代とは短命化の時代イノベーションを起こし続けられるか否かが、企業価値を左右する3 イノベーションを起こすのは「ひと」人的資本開示の意味とはなぜ「資源」でなく「資本」なのか人的資本への認識・姿勢が問われる4 日本企業の人財の現状─不都合な真実実は人財への投資は先進国で最下位レベルエンゲージメント〝世界最低〟の衝撃5 日本企業の取り組みは奏功するか繰り返される人事制度改革の失敗人財施策、日本企業が陥りがちな勘違いとは<勘違い その1>報酬見直しを断行できないジョブ型人事制度<勘違い その2>数合わせのデータサイエンティスト獲得競争<勘違い その3>リスキリングとは全社一斉研修メニューの拡充?<勘違い その4>エンゲージメントと従業員満足度の履き違え
第2章過去の慣習でもたらされた戦略なき人事制度戦後の日本企業の歩みにみる、人事制度の本質的な課題
1 戦後の日本企業の歩み──そのビジネスモデル・戦略と人財像とは1-1 日本企業のビジネスモデル・戦略を振り返る(1950─1995年)1-2 成長期に求められた人財像とは?1-3 伝統的な日本型人事制度の成立1-4 そして独特の行動様式が生まれた1-5 伝統的な日本型人事制度は個人の志向とも合致──社会構造もそれに合わせて形成されてきた2 日本の企業組織が抱える構造的な問題──環境・人財像の変化についていけない!2-1 成功の陰で進んだ、戦略と人財像の分断2-2 VUCAの時代、求められる人財像は激変したが…2-3 量的拡大モデルを支えた人事制度の「制度疲労」2-4 独特の行動様式がイノベーションを阻害する2-5 戦略なき「個別対応・惰性人事」では乗り切れない3 日本企業に求められる「日本型人財X」とは3-1 経営戦略から「求める人財像」を問い直せ3-2 今こそ「日本型」の人財Xを
第3章日本企業が目指すべき人財X(トランスフォーメーション)
1 人財Xとは?1-1 人財Ⅹの定義1-2 「求める人財像」を考えてこなかった日本企業1-3 「経営戦略の実現に必要な」人財像を定義せよ1-4 経営戦略と人財戦略は「完全に連動」させるべき2 今、日本で進行中の「ジョブ型」とは?2-1 メンバーシップ型、ジョブ型の本質2-2 メンバーシップ型かジョブ型かの「2択」ではなく「第3の道」を2-3 今、日本企業が進めているジョブ型は過渡期モデル3 日本企業が目指すべき新たな人事制度とは?3-1 新たな日本型人事制度──3つのコンセプト3-2 育てる人事──必要な人財の獲得に向けて、自社の人財を成長させる3-3 多様なキャリアパスの提示と支援──社員一人ひとりが自身のキャリアパスを形成できる環境を創る3-4 能力・成果主義の徹底──働いた年数ではなく能力・成果に応じた昇降格・昇降給を実行する3-5 成長機会があり、一人ひとりのキャリアが実現し、能力と成果が報われる長期雇用をめざせコラムコンサルティング業界はすでに第3の道を歩んでいる?4 人財Xの最終ゴールは組織文化の変革──「心・技・体」の改革4-1 人財Xの定義と「心・技・体」の改革4-2 人財Xの「心」(意識改革)先進企業の事例に学ぶ!「心」の改革1先進企業の事例に学ぶ!「心」の改革24-3 人財Xの「技」(制度改革)採用──多様なキャリアパス、多様な「入口」を先進企業の事例に学ぶ!「技」の改革育成・配置──会社と社員の「すり合わせ」が前提等級・評価・報酬──職務要件・能力要件を明示し、評価や報酬を確定する代謝──一定の流動性は組織の多様性を広げる4-4 人財Xの「体」(行動改革)コラム「異業種」での経験型教育事例に学ぶ!「体」の改革5 提言──日本型人財X推進のポイント5-1 社長直轄の体制で臨め5-2 軋轢を恐れず断行せよ5-3 人財Xを通して、魅力的な企業と個人との関係を育てよ
第4章日本独自の「モデル3・0」を目指す人的資本経営とは
対談伊藤邦雄氏(一橋大学CFO教育研究センター長、同大学経営管理研究科経営管理専攻名誉教授)人的資本経営の本質は未来志向であること人的資本開示の義務化を「経営のレベルアップ」に繋げよ経営戦略と人財戦略の連動──「研ぎ澄ます」と「あえて曖昧さを残す」戦略に基づき「あるべき人財像」を定義せよ折衷案ではなく、「モデル・」をつくりあげることこそ日本の人的資本経営個人の自律的なキャリア選択を支えるのは「対話」人財Ⅹは、意識改革(心)・制度改革(技)・行動改革(体)の三位一体で進めるべき企業と個人は「選び、選ばれる関係」に
第5章人財Xで日本企業の活力を取り戻せ
1 経営者は「人財」に思いを馳せよ、思考せよ1-1 人財こそ最優先の経営課題1-2 社会に働きかけ、変えていく気概を持て1-3 人財Xを、対外アピールの道具にするな2 日本企業には「変わってはいけない部分もある」2-1 欧米のジョブ型を目指す必要はない2-2 日本企業の良いところを見つめ直そう3 人生100年時代に人財を生かしきる 多様なキャリアを歩める社会へ3-1 結果の平等でなく機会の平等へ3-2 本当のリスキリングを考える。40代、50代が諦めない社会の実現を3-3 ひとは変われる、変えられる3-4 日本のビジネスパーソンよ、仕事に対する夢を語ろう
著者略歴
安部慶喜B&DX株式会社 代表取締役社長 大学院卒業後、2000年デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。2011年執行役員就任。 2015年経営改革組織の組織長就任。戦略領域、業務改革領域、人財領域、デジタル領域を中心にコンサルティングに従事。 2021年1月、日本企業のビジネス改革(BX)とデジタル改革(DX)を実現させたい想いからB&DX株式会社を設立。 DX、人財X、新規事業創出、働き方改革、パーパス経営、ESG/SDGsなどのテーマでコンサルティングに従事。 特に、DXと人財Xでは第一人者として多数のメディアや講演で活躍している。
柳剛洋B&DX株式会社 取締役 大手コンサルティング会社を経て現職。ビジネスモデル変革・新規事業開発、経営戦略策定、パーパス経営・ESG経営、働き方改革(業務改革・会議改革)、経営管理改革、DX人材開発、等のテーマで多くの企業を支援している。
金弘潤一郎B&DX株式会社 取締役 製造業・大手コンサルティング会社を経て現職。デジタルトランスフォーメーション、RPA・AI等を駆使した働き方改革、経営管理制度改革、コスト構造改革、レジリエンスなど、幅広い領域で多くの企業を支援している。