■内容
プラスチック材の発明と共にフイルム・シートの熱加工技法(ヒートシール技法)が展開されて久しい。今日の社会では,食品,医薬/医療,電子部品等の個装/小分け包装に利用され,防塵,防湿,恒湿,防酸化等に貢献し,旧来の瓶詰,缶詰包装の代替えとして人々の生活に不可欠になっている。増大したプラスチック材の利用は環境保全のSDGsへの対応が新たに追加されている。
既刊の「ヒートシールの基礎と実際」(幸書房),HEAT SEALING TECHNOLOGY and ENGINEERING for PACKAGING (DEStec;USA)では,ヒートシール技法を検討する上で,基幹となる加熱温度を溶着面(接着面)温度応答と定義して,著者が開発した溶着面温度計測法;“MTMS”を展開して,ヒートシール現象の理論と技術を論じた。しかし,この理論の現場への展開が困難で、現場で苦労されている方から数多くの苦言を戴いた。
本刊は主に現場への展開を意識して,2008年以降に発表した論文と取得した特許等のヒートシール技法の革新をまとめた。
本書が,ヒートシールの実践でお困りの方々への福音となれば幸いである。
■目次
は じ め に「新ヒートシール技法」発刊に寄せて本書に出てくるキーワードの解説
第 1 章 熱接着(ヒートシール)総論第 2 章 従来法のヒートシール関連事項の取り扱いの誤認解析と第 3 章 熱接着強さの管理でヒートシールの性能の保証ができるか?第 4 章 [ 改革技術 3]:ヒートシール強さの発現に《加熱速さ》が関第 5 章 [ 改革技術 2]:「密封」と「易開封」を同時に達成する第 6 章 [ 改革技術 1]:溶着面(接着面)温度応答を第 7 章 [改革技術7]:凝集接着の革新:「モールド接着」の開発第 8 章 [ 改革技術 5]:圧縮・落下衝撃の破袋メカニズムとヒート第 9 章 [ 改革技術 4]:剥離エネルギー論による剥れシールの機能性第10 章 ヒートシール面内の温度分布の発現現象の解析と定量化第11 章 [ 改革技術 6]:改革技術を全面的に展開したレトルトパウチ第12 章 ヒートシールの化学第13 章 探傷液法による「密封」の漏れ検知と簡易化第14 章 「 探傷液法」によるピロー袋の貫通孔の発生原因の究明と第15 章 密封特性の解析と革新;ヒートシール強さは密封化の第16 章 軟包装の「易開封」の検討;フィン・タブ開封の理論と実際第17 章 医療用不織布包装の熱接着面の微生物バリア性の《Validation》第18 章 新技術を実践展開したバンドシーラ[Ⅰ]第19 章 包装工程へのAI 制御の展開第20 章 保障(Validation)と保証(Guarantee)の常識第21 章 包装技法の品質管理第22 章 回分操作の溶着面(接着面)温度のステップ応答の巧みな利用第23 章 “ 一条シール”と《界面温度制御》の開発がもたらしたヒート第24 章 《 JIS Z 0238, ASTM F88, 2029》に替わる新ヒートシールの第25 章 ヒートシール技法に期待される《SDGs》の課題の整頓第26 章 ヒートシール操作の基本
あ と が きAPPENDIX◆本文中に引用した(主要)取得特許一覧表◆既発表論文のつながりと体系