本書がNPO 法人チーズプロフェッショナル協会で開講した「C.P.A. 大学 チーズの科学講座」のテキストとして出版されてから8年あまりが経ちました.その間にもチーズサイエンスの研究は日進月歩で新しい成果が次々と発表されました.また,日本のおけるチーズを取り巻く状況も日々変化し,今や各種メディアでチーズの話題を見ない日はないほど消費者にとって,より身近なものになったと思います.C.P.A. 大学 チーズの科学講座は現在までに全8 期開講しましたが,本書の執筆者である講師陣は常により良い講座を目指して新しい知見を集積し,講義の内容について相互に検討を重ねると同時に,受講者のニーズに合わせた構成に更新してきました.8 期を経てこのチーズサイエンスの学びのプログラムは完成形となったと感じております.
講義が進化する中でテキストである本書もバージョンアップできたらと願っておりましたところ,幸書房様から改訂版のお話をいただき,この度発行できたことは大きな喜びです.チーズの科学を知ることは,チーズのおいしさ,魅力を知ることでもあると思います.本書が研究者,学生,製造者のみならず,販売者,愛好家,全てのチーズを愛する人のお役に立てれば幸いです.
【目次】
第1章 チーズの科学の基礎
1.1 はじめに
1.2 たんぱく質の基礎
1.3 脂肪の基礎
第2章 チーズの成分
2.1 各種動物乳の成分
2.2 カゼインの性質
2.4 乳たんぱく質に及ぼす加熱の影響
2.5 乳・乳成分の進化
第3章 チーズと微生物
3.1 乳酸菌と乳酸発酵
3.2 チーズ製造に使用される微生物
3.3 乳酸菌以外のスターターの特徴
3.4 エメンタールチーズのチーズアイ
3.5 乳酸菌ファージとファージ対策
3.6 汚 染 菌
第4章 乳の凝固
4.1 乳の凝固の基礎
4.2 チーズ製造に使われる凝乳酵素
4.3 レンネットの使用状況
第5章 チーズの製造法
5.1 ナチュラルチーズの製造法
5.2 プロセスチーズの製造法
第6章 チーズの熟成
6.1 熟成の概要
6.2 チーズ熟成中のたんぱく質分解
6.3 チーズ熟成中の脂肪分解
6.4 チーズの二次風味と苦味
第7章 チーズのミクロの世界 ― その主役と脇役 ―
7.1 乳たんぱく質のミクロ
7.2 カード形成
7.3 カマンベールのミクロ
7.4 繊維状チーズのミクロ
7.5 プロセスチーズのミクロ
第8章 チーズの機能性
8.1 チーズの栄養
8.2 チーズの健康効果
第9章 チーズと包装技術の関わり
9.1 食品包装の役割
9.2 チーズと包装
9.3 保存技術と包装
9.4 売り場・家庭と安全・衛生と包装