でん粉ほど,本来の素材としての高分子の特徴や自然の構造性を巧みに生かされるものは他にみられず,しかも持続的に多量生産可能で,多くの食品や,化成品,工業原料として人間生活に密着して利用されているものはない.
本書は,高橋禮治氏が50 年に亘って培った豊かな経験に基づいて,このでん粉の製造,でん粉の構造や特性とその改質,でん粉製品等の膨大な知識をわかりやすく論述した優れたバイブル的書として1996 年刊行され,その後20 年間社会に広く貢献してきた.
しかし,この間,でん粉の需給の変化,でん粉を取巻く新たな進歩,社会のニーズの変化とでん粉の利用の変化もあった.
これらを補うために,その意を継いで2016 年原著の大部分を維持しつつ増改訂を行った.
その増改訂も5 年経ち,統計情報を含めて新たな知見も増えたので,今回再改訂することとした.未だ不十分な点も多々あるが,ご批判を頂いてさらなる充実に努めたい.
【目 次】
Ⅰ 世界のでん粉産業
1. 日本のでん粉産業
2. ヨーロッパ(EU)のでん粉産業
3. アメリカのでん粉産業
4. アジアのでん粉産業
Ⅱ でん粉の製造法と利用特性
1. 概 説
2. 穀類でん粉
3. 豆類でん粉
4.イモ類でん粉
5. 食用野草類でん粉
6. 幹茎(ヤシ)でん粉
7. ウエットミリングの特徴
Ⅲ でん粉の科学
1. でん粉の構造
2. 粉末特性
3. 懸濁液(でん粉乳)の特性
4. 糊化特性
5. 老化特性
6. 膨化特性
7. フィルム特性
8. 健 全 性
Ⅳ でん粉の加工と改質
1. でん粉加工の必要性
2. 分 解
3. 低粘度化
4. 糊化処理(α化)
5. 官能基導入
6. 加工でん粉の特徴
7. 新たな改質技術
Ⅴ でん粉の用途
1. 概 説
2. 打 ち 粉
3. 粉末食品
4. キャンディー類
5. 焼菓子類
6. パ ン 類
7. 洋生菓子類
8. 和生菓子類
9. 麺 類
10. 水産ねり製品
11. 畜肉加工品
12. た れ 類
13. 油脂食品
14. 揚物(フライころも)
15. レトルト食品
16. 冷凍食品
17. アルコール飲料
18. 低エネルギー食品
19. 保健機能食品
20. 栄養補給剤
21. えん下困難者用食品・テクスチャーデザイン食品
22. 医薬用でん粉
23. 生分解性プラスチック
Ⅵ でん粉質食品の特徴
索 引