本書「はじめに」より
2018 年第196 回通常国会において食品衛生法が改正され,全食品事業者を対象としたHACCP に基づく衛生管理の義務化法案が可決されました.これにより,日本の食品衛生は国際的なレベルと肩を並べることとなりました.HACCP の根幹は,危害要因分析による危害要因の特定とその管理にあるわけですが,日本の場合は特に微生物的危害,つまり「食中毒」が最も大きな危害と言えます.最近では,公的あるいは民間の分析機関への微生物的危害の検査の依頼が増大している一方,一般衛生管理として「清掃後,清潔であるという科学的な証明」のひとつとしてATP を指標とした食品製造現場での検査も重要視されてきています.こうした微生物検査等のニーズが増えるのと並行して,現場での自主検査のための微生物の簡易迅速検出法や各種の技術開発も日進月歩で進んでいます.
本書は,食品製造現場で微生物関連の衛生管理,品質管理を担当されている方を対象に,食品衛生微生物に関する用語を,ポケットサイズでかつパーソナルユースで安価に購入できるように編集したものです.日常業務で必要と思われる微生物の基礎から最新の検査技術の用語まで,およそ500 語を採録しています.もちろん解説も平易になるように努めたつもりです.これからの食品製造現場で,HACCP 手法に基づく微生物的危害分析には欠かせない1 冊と考えています.ぜひ皆様のポケットに本書が携帯されることを願っています.
2018 年8 月 編 者 藤井建夫
用語の採録分野(約500語採録)
・微生物一般、分類に関する用語
・微生物の増殖、腐敗についての用語
・食中毒菌、ウイルスについての用語
・微生物自体についての一般用語
・カビ、カビ毒についての用語
・殺菌関係用語(殺菌剤以外)
・食品添加物に関する用語
・培地、培地素材に関する用語
・検査法、汚染指標菌、衛生指標菌に関する用語
・遺伝子を用いた検査法、タンパク質量分析などの用語
・HACCPに関する用語