● 食から世界を変える「サステナブル・フード革命」へ ●
気候変動や人口増加により、地球規模の食の危機が始まっている。
こうした危機をいかに超え、持続可能な未来をひらくか?
環境ジャーナリストである著者は、
食と農業の未来を変える世界各地のイノベーターたちを取材。
その活動とビジョンを通して、新たな指針を提唱する。
それは最先端テクノロジーと環境エコロジーをともに活かす「第3の方法」だ。
たんなるフードテック礼賛でもなく、
エコやオーガニックの主張でもない、それらを統合した道こそが
「持続可能で公平な食農システム」をもたらす。
マクロ=パーマカルチャー、古代植物を復活させる研究、
水不足を解消する先端テクノロジー、アフリカを救うGM種子、
中国で台頭する精密農業、アメリカ陸軍が開発する未来食
・・・
今日の食農システムは危機管理力・回復力が求められる一方で、
気候変動・環境劣化をもたらしている大きな要因でもある。
こうした動向への著者の真摯な問いかけと不安は、
取材の旅の終わりに希望へと転じていく。
食を変えれば世界を変えられるーーサステナブル・フード革命とともに!■著者
アマンダ・リトル 翻訳:加藤万里子
■内容
- はじめに 食の危機をイノベーションで超える
人口増と気候変動の脅威/食料生産を根本から見直す- 第1章 持続可能な「第3の方法」とは?
歴史が教えてくれること/不足から過多へ
度を越した料理文化/魔法使いVS.予言者/入手しやすさ格差- 第2章 気候変動と闘うリンゴ農家
野生のリンゴから遠く離れて/スマートな果樹園への道/植物の原始的な意志/スーパーチル現象/未曾有の出来事/ 試行錯誤を重ねて/気候変動が食料生産に及ぼす影響/無駄な努力?/奇抜なアイデア- 第3章 アフリカを救う遺伝子組み換え種子
畑があるのに、なぜ飢える?/GM作物は禁止すべきか/カロリー生成機/白熱する議論/安全でも信頼が得られないわけ/二者択一を超えて/広大な砂漠が農地に変わる?/私が間違っていたこと- 第4章 AIロボットで持続可能な農業へ
レタスボットの活躍/農薬を減らす/悪夢にもチャンスにもなる/除草ロボットという選択肢/土が革命的に健全になる/単一栽培に終止符を!- 第5章 中国で台頭する精密農業
汚染された農地/トニー・ジャンの挑戦/スマート農業システムの開発/困難な除染/時代を先取りしたアイデア/最大の難関- 第6章 垂直農場が育むデジタル・テロワール
世界的な農地略奪/ニューヨーク各地で葉物野菜を育てる/ポストオーガニック/農地を原野に/独特な風味と食感を野菜に与える/革新的なチームづくり- 第7章 サケ養殖で世界に持続可能なタンパク質を
「青の革命」を支援する/もっとも切迫した問題/水中版の垂直農場/混合飼育の復活/牛肉より養殖魚を- 第8章 健康にも環境にもいい培養肉
代用ではなく、肉そのものを/歴史的な意義/ 生産コストをいかに下げるか/未知の可能性へ/ 究極の高機能ハンバーガー/パンデミックのリスクを減らす- 第9章 食品廃棄物ゼロをどう実現するか
食品廃棄物による温室効果ガス排出量/リサイクルより地球のためになる/ 広がる食品廃棄物スーパー/食品を保存するテクノロジーの進展/食品廃棄物をバイオガスに変える- 第10章 水危機を解決する先端テクノロジー
敵は水漏れ水道管だ/紫の水道管ネットワーク/予防医学の世界へ/海水淡水化プラントで水大国に/トイレから蛇口へ- 第11章 危機管理力と回復力を鍛える
クラウドシーディング体験/史上最大の干ばつ救援活動/ 回復力の根づいたコミュニティ- 第12章 古代植物の復活
植物が授ける古代の知恵/気候変動時代の主食に/ジャンク・フード効果と栄養格差/古代の植物と現代の育種ツールの融合- 第13章 3Dプリンターが生む未来食
栄養補給のパーソナライズ化/Z世代の兵士と戦略の変化/ 最小で最大のカロリーと栄養素を/食の魂の終わり/希望の探求- おわりに 世界全体が、ひとつの庭
自然の永続的なパターンを模倣する/2050年の感謝祭/ マクロ=パーマカルチャー