人口増に伴う食糧・栄養不足への処方箋として注目集まる「フードテック」の全容と、それを支える基盤システムや要素技術、市場性をまるっと紹介。大豆ミートや食用藻類など代替素材の開発動向や、ITを駆使した生産体系を詳述。食の安心と安全を守る仕組みにも迫る。
■著者
三輪 泰史
■内容
- はじめに
- 第1章 脚光を浴びる次世代技術“フードテック”
フードテックとは何か? X-Techの波が農業・食品分野へ
フードテックの分類 生産分野がフードテックの牽引役
なぜフードテックが注目されているのか SDGsが市場拡大の追い風に
フードテックの位置づけとマーケット拡大戦略
既存の農林水産業との共存共栄がカギ- 第2章 フードテックを後押しする社会トレンド
農林水産業におけるSDGsの重要性 農業の多面的機能に改めてスポットライトを
健康ブームと栄養摂取トレンドの変化 コロナ禍で加速するタンパク質の積極的摂取
高齢者におけるタンパク質摂取の重要性 マーケット拡大で生まれるビジネスチャンス
農林水産業で顕在化する気候変動リスク
国内外のあらゆる地域で影響が懸念される
求められる農業における温室効果ガス削減
意外と多い農林水産業からの温室効果ガス排出
農林水産業における気候変動影響の見える化
サプライチェーン内の情報開示が重要に
国際的な食料不足のリスク回避 国内での効率的な食料生産手法が不可欠に
台頭するフードテックベンチャー 様々な成り立ちの企業が存在感を発揮
フードテックを後押しする金融業界
融資・出資のほか経営ノウハウ支援のサポートを行う主体も- 第3章 次世代のタンパク源“代替肉”
代替肉の分類と概要 中核となるのは植物肉と培養肉
植物肉の特徴 日本人になじみのある代替肉
植物肉の原料と調達 原料作物の生産振興がポイント
植物肉の製造技術の発展戦略 植物肉が目指す価値とは
評価高まる植物肉商品 肉の価値を超えるか、オンリーワンの価値を生み出せるか
植物肉に対する消費者ニーズ 「肉っぽくない」ことが強みになることもある
ヴィーガン、ハラルマーケットでの展開
思想とルールを理解し、適切な対応と情報開示を
外食で進む植物肉メニューの採用
無意識的な喫食機会の提供が市場成長のきっかけに
植物肉が牽引する農業活性化 求められる国産原料の増産
培養肉の特徴 動物細胞を人工的に培養
培養肉の製造技術 量産に向けた研究が進む
海外で始まった培養肉の商品化 先行する海外に日本も追いつけるか
代替肉は“肉を代替”するのか?
食肉+代替肉の補完関係で安定的なタンパク質源の供給を
代替肉による効率的な食料供給 少ない土地からより多くのタンパク質を供給可能- 第4章 新製品が続々登場する“藻類食品”
藻類食品の概要 藻類の種類によって魅力・形態は様々
なぜ藻類食品が“再ブレーク”したのか 改めて注目されることになった3つの理由
藻類食品の培養技術 大規模化、高密度化、効率化がカギ
藻類食品の加工技術 風味・匂い・栄養価を決めるキーテクノロジー
藻類食品のマーケット タンパク質不足・植物性食品志向が市場拡大を後押し
様々な用途を持つ藻類 複数の製品をカバーする生産プロセス全体の効率化がカギ
藻類食品の普及に向けた課題
「大量生産体制/技術」と「多くの人に訴求する販売戦略」がポイント- 第5章 異色の新食材“昆虫食”
次世代のタンパク質源“昆虫食”の概要 伝統食材の価値の見直し
現代において昆虫食が求められる背景
キーワードは「環境負荷低減」「循環型経済」「地域活性化」
昆虫の調達手段(コオロギを例に)
食料として普及するには大規模養殖の実現が課題
昆虫食に関わる国内のプレイヤー 多種多様な業界からの参入
養殖の餌としての昆虫 養殖漁業も“食料”調達に課題
昆虫食の普及・定着に向けた課題 心理的ハードルを乗り越えるための施策- 第6章 農産物栽培を人工的にコントロールする“植物工場”
植物工場の分類と概要 ニーズ起点の次世代型へ進化中
植物工場の強み 安定生産とコスト削減で存在感が向上
植物工場野菜のマーケティング戦略
ニーズに合わせたオーダーメイド型が拡大へ
加速する植物工場のオートメーション化
全作業が自動化可能な技術レベルに
植物工場に導入が進むAI 人工知能・ビッグデータの活用でさらなる先鋭化へ- 第7章 バイオテクノロジーを駆使した“スマート育種”
スマート育種の定義と分類 技術革新により育種期間を短縮
遺伝子組換えの概要 元の生物にない外来遺伝子を組み込む
ゲノム編集技術の概要 ゲノム中の狙った場所をピンポイントで編集
国産ゲノム編集技術への期待 海外知財に抵触しない国産技術が必要
ゲノム編集農林水産物がいよいよ販売開始
ゲノム編集は研究段階から商業化段階へ
ゲノム編集食品に関する制度
外来遺伝子の導入がなければ食品としての安全性審査は不要に- 第8章 消費者ニーズと環境配慮に応える“陸上養殖”
日本の水産業の現状と陸上養殖への期待
養殖による供給量確保で食卓を守る
技術革新が進む陸上養殖 外的環境の影響を受けにくい新たな養殖技術
養殖技術を活かした需要起点の商品設計
消費者ニーズに合わせて水産物を“デザイン”
IoT/AIを活用したスマート水産業 スマート農業と比べて普及に遅れ
陸上養殖で生産される主な商品 高級魚種を中心に事業展開
陸上養殖のメリット/デメリット 外部環境の変化でさらなる拡大の見込み
農業と養殖を掛け合わせたアクアポニックス
次世代の循環型農法だが採算性が課題- 第9章 流通や加工におけるフードテックの躍進
活躍の場が広がるフードロボティクス
製造業よりも高いハードルをいかに乗り越えるか
3Dフードプリンタ 多様なニーズにマスカスタマイズで応える注目技術
期待されるフードチェーンのスマート化 消費者・実需者に安心と信頼を提供
農産物の鮮度の見える化 消費者への新たな価値訴求
進化を続ける品質保持技術
フードロス削減だけでなく、安心・安全や美味しさ向上に貢献- 第10章 フードテックを取り巻く政策
食料・農業・農村基本計画 日本の農業政策の根幹となる羅針盤
みどりの食料システム戦略 持続可能な農・食に向けたイノベーションの道筋
農業DX(デジタルトランスフォーメーション)構想
加速する農業・農村の革新的イノベーション
グリーン成長戦略 フードテックで「農業×グリーン」のチャンスをつかむ
バイオ戦略 フードテックと切り離せない重要テーマ- Column
躍進する日本の農林水産物輸出
“ポテトショック”から見る日本のフードセキュリティ
マーガリンの歴史から学ぶ代替肉のブランド戦略
インバウンド消失が日本の農林水産業に与える影響
気候変動への適応策としての「産地シフト」
マイクロファーミングで実現する「全員農業」
スマート育種を支えるオミクス解析
フードテックに並ぶ最新トレンド=農村デジタルトランスフォーメーション
在庫可視化と自動発注で食品ロスの削減を目指す