グラスに注ぐと、静かに光を受けて輝く淡いゴールド。
その外観からすでに、このワインの品の良さが滲み出ている。
香りは穏やかだが奥行きがあり、白桃、洋梨、レモンの果皮に、控えめながら存在感のあるビスケット香が寄り添う。
これは明らかに、低温で丁寧に発酵・熟成されたことを物語っている。
味わいは第一印象から柔らかく、アタックにトゲがない。
その一方で、標高900m 弱という冷涼な産地特有の酸が、ワインの輪郭をしっかりと描いてくれる。
口中での構成はシンプルすぎず、果実味とミネラル、仄かなイーストの旨味が層を成して展開していく。
シャルドネという品種の中でも、樽やマロラクティックによる過剰な装飾を避け、「葡萄そのものの声」に耳を傾けた造り。
上質でありながら、押しつけがましさのないスタイル。まさに、造り手のセンスと節度が光る。
トンカツや鶏肉のソテー、根菜のローストなど、白身の肉料理との相性は抜群。
脂と旨味を受け止めながら、後味をすっと整えてくれる酸の質の高さが、食卓に静かな感動を与えるだろう。
「語りすぎないのに、余韻ですべてが伝わる」。
そんなシャルドネに、久々に出会えた気がする。
(文:ドメーヌフジタさん)
ボディ 甘さ 酸味 果実味 複雑さ 樽香 3 3 3 4 4 1
- タイプ(Type)
- 白ワイン(White wine)
- 生産者(Winery)
- ドメーヌフジタ
- 産地(Region)
- 日本(Japan)>小諸(Komoro)
- 品種(Grape)
- シャルドネ(Chardonnay)
- 内容量(Volume)
- 750ml
- 備考(Remarks)