【JAZZ】
ROGER GUERIN - BENNY GOLSON
ロジェ・ゲラン『澤野工房』
【AS112】
Benny Golson : tenor sax
Bobby Timmons : piano
Pierre Michelot : bass
Christian Garros : drums
Michel Hausser : vibraphone
Martial Solal : piano
Cool&Groovy・・・これぞジャズ・クインテット!
抜群のスピード感で次々と繰り出されるソロの応酬。
「体感」するジャズの爽快さ、この一枚に凝縮!
【収録曲】
1 Stablemates
2 Moanin'
3 Blues March
4 I Remember Clifford
5 Not Serious
【ライナーノーツ】
ヨーロッパのトランペッターといえば、UKにはジミー・デューカー、デンマークにはアラン・ボッチンスキー、イタリアにはオスカー・ヴァルダンブリーニ、ヌンツィオ・ロトンド、そしてフランスにはロジェ・ゲランがいる。当時アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのツアーメンバーとしてフランス滞在中であった、ベニー・ゴルソン、ボビー・ティモンズの2名を迎えたクインテット編成での録音である。一貫してメンバー全員が打ち解けたような、リラックスムードでの演奏が聴かれ、取り分けリーダーであるロジェ・ゲランのメロディアスに歌い上げるアドリブが素晴らしい。“Moanin'”, “Blues March”は同年録音であるメッセンジャーズのBlue Note作品に収録されている演奏と比較してみると、驚くほどに印象が違って聴こえる。ほどよくクールダウンされたファンキーさを漂わせ、ゲラン、ゴルソン、ティモンズの3人が叙情性豊かなメロディーを紡いでいく様は、この作品特有のものであり、昔から人気の高いタイトルである所以ではないだろうか。
この後、ゴルソン、ティモンズは50年代後半にかけて、キラ星のような名盤の数々に録音を残していくが、それらの作品と比較してもなんら遜色の無い作品である事は明白で、もっと広く聴かれるべき一枚であると思う。非常に入手困難なオリジナル盤を手に入れる以外は、これまで、決して音質の良いとは言えない再発LPのみでしか聴く事ができなかったわけだが、今回復刻されたCDを聴いて驚愕した。澤野工房の方に「オリジナル盤もあんな凄い音なんですか?」と訊いてみたところ、あっさり「そうだよ。」という答えが返ってきた。なるほど、オリジナル盤がレアで高価なわけだ。
Text by 中野 克彦
【録音年:1958年 発売日:2011.7.22】