【JAZZ】REMINISCENCE
ミリアム・アルター・クインテット 『澤野工房』
【AS039】
Myriam Alter : piano
Gino Lattuca : trumpet , fluegelhorn
Ben Sluijs : alt sax , tenor sax
Michel Benita : bass
Jan De Haas : drums
ベルギーの女流作曲家が紡ぐ、思わずため息が出るほど甘美で愁いなメロディ…これぞヨーロピアン・ブルーノート・サウンド!いい音楽とは聴く人の心の中に何らかの情景を映し出す。ここではヌーベル・シノワのワン・シーンのような…。 【収録曲】
1 Romantic Mood
2 Conversation
3 Tenderness
4 Somewhere
5 Bossa
6 What Can I Do?
7 So Far, So Close At The Same Time
8 Keep Going
9 Mystery
10 Reminiscence
11 Don't Rush
【ライナーノーツ】
白と黒のモノトーンの夜の街を滑る車の灯に映った女。男は彼女と出会い恋に落ちた…そんなヌーベル・シノワのワン・シーンのような情景が浮かぶ。いい音楽とは聴く人の心の中に何らかの情景を映し出す。音楽と情景、感覚と感情が重なり合う時、胸の鼓動は高まり、まるで恋をしているかのような豊かで素晴らしい気持ちが沸きおこる。そして僕はこの作品を何度も繰り返し聴きながら、その胸の高まりを抑える為に深いため息をついた…。
欧州で今注目を集める女流コンポーザー、ミリアム・アルター(ベルギー)が、珍しくも自らの楽曲を自ら率いるピアノ・クインテットで演じたこのアルバムには、かつてのブルーノートにも似たある種のジャズ特有の香りとでも言おうか、あの時代のジャズに惹かれる時と同種の魅力が存在している。それは単に演奏形態とかテクニックといった音楽的なものではなく、音楽によって心に映し出される情景の現れ方が似ているのかも知れない。
柔らかい陽ざしを感じる美しいワルツ"Tenderness"、疾走感と哀愁が交錯する"Bossa"、謎めいた女の余韻を残す"Mystery"等、思わずため息がもれるほど美しい秀曲が並ぶ。そして、まるで優しく愛撫するかのようなミリアムの甘美なソロを筆頭に、各パートとも潔い短めのインプロバイズド(即興)によって、それらの物語が見事に一つに綴られている。
…さぁ、この盤を聴く貴方の心のスクリーンには、一体何が映るのでしょう?
Text by hirochikano
【録音年:1994年 発売日:2004.6.23】