「ロイヤル･ドルトン」のブランドネームで知られるイギリスの銘窯ドルトン社によって20世紀初頭に製造された飾り皿。
「ディケンズ･ウェア※」の一つで、描かれているのはディケンズ中期の長編小説「二都物語※」の主役の一人、イギリス人弁護士のシドニー・カートン。物語のクライマックス、死刑宣告をされたチャールズ・ダーネイ（もう一人の主役）に成り代わり断頭台の階段を登るシーンが描かれています。
※…ディケンズ･ウェア
20世紀初頭を中心にイギリスのドルトン社が生産していたシリーズ。
読んで字の如くイギリスを代表する文豪チャールズ･ディケンズ（1812-1870）の手掛けた諸作品に登場するキャラクターが描かれた、一連のコレクタブル・アイテムです。
同時期にドルトン社以外の工房も各々のブランドネームでディケンズのコレクターズアイテムを生産しており、それらを包括して指す場合もあります。
※…二都物語
1859年に刊行された、チャールズ･ディケンズによる長編小説。
時は18世紀、一人のフランス人女性と彼女を愛する二人の男性を主役に、フランス革命の混乱に揺れるロンドンとパリを舞台にした物語が展開されます。
このコレクターズプレートに描かれている場面は主役の一人、シドニー・カートンが処刑される直前、自分の死（チャールズの身代わりとなって断頭台で処刑される）によって（チャールズの妻であり）シドニーが愛する女性ルーシーの人生が救われる事を思いながら下記の台詞を発する、作中屈指の有名な一幕です。
”It is a far, far better thing that I do, than I have ever done;
it is a far, far better rest that I go to than I have ever known.”
これからする事は、これまでに成した全てを上回る、遙かに価値ある行いだ。
その先に待つのは、これまで味わった全てを上回る、安らかで、憂（うれ）い無き眠りだ。
（意訳）
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