イギリス、スタッフォード州ストークー・オン・トレント市のバースレムで操業していた陶磁器メーカー、ギブソン・アンド・サンズ社(通称ギブソンズ)製オクタゴナル・シェイプのティーポット。
多彩なティーポットで知られるギブソンズの製品はシェイプ別に一連の通し番号が割り振られており、そこに人名や地名を冠した上で底部にその刻印がされているのも特徴。こちらのオクタゴナル(八角形)シェイプには”セリア”の名で刻印がされています。
このパターンは「ディケンズ・デイズ」。四頭立ての乗り合い馬車がコーチング・イン※に向かって進んでいる様子が描かれており、これはそのタイトルの通りイ19世紀ギリスの小説家、チャールズ・ディケンズの生きたヴィクトリア朝時代の風景です。
ちなみに、同名の”ディケンズ・デイズ”または”ディケンズ・フェア”と呼ばれるイベントが現在のアメリカやイギリスの一部地域で行われています。11月末〜12月頭に足かけ数日間に渡り開催地の人々やイベント参加者が「クリスマス・キャロル※」の精神に思いを馳せながらヴィクトリア朝時代の人々(ヴィクトリアーナ)に扮し、様々な催しを執り行います。ハロウィンやルネサンス・フェアのような仮装イベントの一種ですが、こちらはヴィクトリア朝しばり。
(なお上述の”ディケンズ・デイズ”はこちらのお品が作られてからだいぶ後の時代、20世紀後期にアメリカで始まったイベントです。)