宙吹きガラス製法で作られたクランベリーガラス※のユニークなガラスウェア。一見するとガラスベルの様ですが鳴り子やチェーン、またそれらを吊るパーツは無く、痕跡もありません。
その正体は逆さにして置く(=中身を飲み干さないと置くことが出来ない)タイプのショットグラスです。飲んだ後にステムを持って軽く振り、”空っぽ”のジェスチャーをすれば、音の鳴らないガラスベルを鳴らそうとする酔っ払いの出来上がり、と言ったところでしょうか。日本の可杯(べくはい)から着想を得ているのかもしれませんね。
~20世紀前期にかけての工業技術の円熟による大規模生産が主流となる以前のガラス製品の生産は、主に職人による家内制ないし工場制手工業の産物でした。宙吹きガラスは太古からある製法の一つで、吹き竿の先端に高温のガラス種を乗せて、それを回転させながら息を吹き込んで成型される過程で出来る独特のうっすらとした筋模様が胴体部分に見られます。