Apps Standard Sapiens (1mPair)
Apps Standard Sapiens
Sapiens
Apps Standardの最初のモデル、Sapiensは"人類"がテーマ。AppsはWatsonがレスポールだとすると、正にストラトキャスターのような存在です。
Apps Standardの全モデルのHOT側はApps線材をApps Standard仕様で使っています。従って各モデルの音色の違いはGND構造によって生まれています。
このApps Standard SapiensのGND構造は片側は0.2mm程度の単線を十数本パラレルで使用、反対側は異種の鉄製素材のシリーズMIXというもの。
これらの選定は全て試作機製作中に全てヒアリングによる選択により行われています。TMDのケーブル作りで画期的なのがこの点で「実際に音を聴きながら」ケーブルを作っていくのです。
Sapiensで求めたのは透き通るような爽快さ、音の切れ味、スピード感、高い解像度などです。
このケーブルから流れてくる再生音は、左右に展開された楕円形の音場の中に、比較的びっしり隙間なく各音像を配置してくる。
それら、すべての音のエネルギーが強く、出し惜しみすることなく、全部放射されてくる感じ。その密度はかなり高いけれど、互いが干渉してにじんだりつぶれたりすることはない。
音は、わずかに低域、中低域が控えめのドンシャリ傾向。スプラッシュシンバルの音が良いです。スティックが当たった瞬間の音も、その後のシンバル全体の振動音も、それぞれきちんと聴こえます。
レベルの高い解像度を持った世界だ。あと、シンセの音も安定したエネルギーに満ちていて、イイ感じです。こぶしの利いたシンセ(笑)柔軟性が高く、昔のダイナミックレンジ広めの録音も、最近の波形が海苔みたいな録音も、どちらも音の要素や演奏のニュアンスを分解して一つ一つ全て聴かせてくれる。
様々なジャンルや時代の音楽への対応力があるケーブル。このケーブル、もう一つ大きな特徴があります。とても明瞭なのに、どこか当たりが柔らかいんです。
博識で話題も超豊富なのに、話していてイヤミを全く感じず、引き込まれ、ついつい長時間話し込んでしまう。そんなケーブルです。
強い筆致が絵画から立体を浮かび上がらせる。明快な表現が音源の全てを描き切る
Apps Sapiens
竹内まりやではある種のたゆたいがあり、味わいとか、音色の機微、陰影、ニュアンスみたいなものを感じさせてくれる。ヴォーカルは微妙にさ行が強め。声自体にコラーゲンたっぷりの肌のような感覚もあり、表情豊か。ちょっと聴くとヴォーカルの存在感が低いように感じるが、実はニュアンス横溢。人工的なニュアンスもありつつ、声年齢が若い傾向。微妙に音楽のテンポがゆったり聞える傾向があるが、この場合、それはポジティブに働く。低音の形はしっかりしているし、鮮度感というかダイレクト感も瞬発力も高い。低音感は水準的だが、低音の圧はある。
クラプトンでは拍手はかなり多く、きちんと前後にほぐれ、ギターも分離している。ギター自体の音色感には木が響いている味わいを感じる。低音がやや上に定位。低音の密度にムラがあるが、音像としてはセンターの前めにおおきく居すわっている。同時に高域の繊細感を持った音色という要素もあって、微妙にドンシャリかもしれない。ヴォーカルの喉のひっかかりが出てきて、魅力的。音色的にドンシャリと書いたが、音像のまとまりがいいので音楽的に中域が出ているようにも感じさせてしまうところが手練手管なケーブル。
ハルサイでは各楽器の音色の描き分けが見事で、かなり分解能も高い。音像的にはやはり若干上に定位している。