K's Factory
2018-4/11製作K's Factory(ケーズファクトリー)は先に誕生したしたKellog Barと親戚関係にあり特にHOT側の使用線材が50%程度似ています。しかしGND側は全く違います。
K's Factoryはある意味Kellog Barを意識的に更にハイエンド側に傾けた作品です。Kellog Barは濃厚な音楽と言うことでは過去最高ですが、TMD的には更に欲が出て「更になんとかならないか?」という発想で作りました。
構造の説明としてはGND側はWのスタビライザーを持ち各々のラインに最適なスタビライザーとWIREが当てがわれています。更にその二つ以外にも5本3wayの線が使用され、合計7本5wayのGND側となっています。
一方HOT側はKellog Barに使われた超激レアな線材をビブラント様式+ETC1.44モードにて仕上げています。スタビライザーの一つにはVIBRANT-X系の銅ではない金属(勿論VINTAGE)が使用されています。TMDがVINTAGE素材を使うのは単純に音が良いからです。この音の素晴らしさを使用しないのは余りにも勿体ないです。
さて、音質レポートを以下に..。
ペンタングル。ある意味、Kellogg Barをワイドレンジ&高HIFI側にシフトしたこのK's Factory、結果的に求めた方向がかなり得られています。例えば弦の立ち上がりなどは相当に良いです。素晴らしいといっても過言ではないです。音がこっちにパーンと飛んでくる快感があります。そしていつもより一音多い音数、解像度が増すとこの現象が起きます。トライアングル・ソロでの微細な音では際立った解像度の良さを堪能でき所謂ハイレゾ的な世界を真実的な意味で突破した音です。
メロディ・ガルドー 5曲目
やはりいつもより音数が多く、えっこんな音入ってたっけ?的な感覚が襲います。明確溌剌な音は起伏があり立体的だ。ETC1.44モードのせいかスペース・エフェクトが効いて心地よい。これまで様々なETCケーブルを作ってきましたが人によってどの程度のETC効果を好むかは千差万別なのです。ここで再確認として各ETCモードの説明を、、、。
========================================
NORMAL___これは左右同体の物を指します。
ETC1.2モード___一番、弱いETC度合いですがNORMALに比較すると定位や解像度、立体感が一段上がります。
ETC1.44モード___少し強めなETC効果で音のスペイシーな広がりは体験した人でないとわからない気持ち良さ。
初期ETC___これはオリジナルETC製作時の構造で左右とも全く構造や材質が異なる物です。これの効果は組み合わせにより無限にあることになりますが、多くは失敗します。
第三世代ETC___これは導体ごとのETC度合いを周波数毎に変える物で、かなりクリティカルな設計と調整をしないと聴けた物ではありませんが、うまく行くと吃驚するような物も生まれる可能性があります。
最近ではKGBとVIBRANTも加わってきました。
KGB___これは簡単に言うと鉄を導体の一部に使う手法です。オーディオ界では鉄は忌み嫌われますが、果たしてそうでしょうか?ある意味、禁断の領域ですがTMDは音が良くなるならどんな手段も問いませんから積極的にこのテクノロジーも用います。その効果は特にシンバルの再現やエッジの効いた音の輪郭を得ることができます。
VIBRANT___このビブラントは広い意味ではETCの定義の中(左右同体ではないもの)に入ります。しかしETC設計の上で現在では欠かすことのできないノウハウという事になります。またこのやり方(製作手法)を取る事によって完成後のケーブルの音色をかなりの範囲で完成前に知る事ができるため無駄が無くなりました。このビブラント様式による効果はダルマに目を描き入れるようなものと言えます。
========================================
説明が長くなりましたがK's FactoryはETC1.44モードでビブラント仕様で製作しました。スタビライザーの一部にKGB要素が入っています。なのでスパイスの効いたスペースエフェクトが持ち味で更に味わい深い中域もしっかり表現されます。
クラプトン「クロニクル」 2曲目
レスリースピーカーの音(ハモンドオルガン専用の回転式スピーカー装置)がまず良いです。音が空中に拡散する様子が見て取れます。Kellogg Bar の音味にプラスしてHIFI性能を上げたようなこのK's Factoryの特徴が良く出ています。ある意味Kellogg Barは最良のフィルム的な質感を持ち、K's Factoryは8KのTVのような印象です。
CLAUDIO FILIPINI TRIO 2曲目、 10曲目2曲目、パーカッションのアタック感が非常に濃密で濃度が高い。イントロのこの部分では見るべきところはここしかないのでそれが良くない事には始まらない。つまりこういう事で中域から中低域までが抜群なのである。ミッドレンジがKellogg Bar同様に濃いのだ。
10曲目、Kellogg Barの中域の芯のある感じを幾分、抑えその代わりに各部の音像の明確さコントラストを上げたような感覚。このシンバルは実にリアルだ。Kellogg Barの特濃牛乳のような味も良いが、このK's Factoryの少し濃度は薄くしてその分、ワイドレンジ、high-resolution化した音も素晴らしい。
Eiji Oue Stravinsky 火の鳥 9曲目
まず一言「場の表現に優れる」ドラマティックでスケール感溢れるオーケストラ・サウンドこれは映画音楽全般にも良さそう。
オアシス11曲目
全てに渡って全面的に良し、バランスの良さが超一級、それでいて生々しいエネルギー感も持っている。
コレクション~ベスト・オブ・ジュリア・フォーダム
1曲目、ドスの効いた低音。VOCALは温もりのある、それでいて爽やかさも感じるもの。とにかくこの曲では低域が深い。それによる心地よさは大変なもの。
ルック・オブ・ラヴ-バート・バカラック・ソングブック
TRANCHA
美しさ溢れる世界、ストリングスの流麗さ、そして重厚さもGood、ボーカルの素晴らしさも忘れられない。
===============================
K's Factory(ケーズファクトリー)は繊細さと、レンジが広く分厚い中域が同時に楽しめる稀有な存在。中域がこれほど良いケーブルはこれまでのTMD作品の中でも希少価値です。そしてそれだけに止まらない超高域から高域の繊細な表現力、また低域までの全周波数レンジの全てに文句のない性能を示しました。
このバランスの取れたリアリズムは他には無い境地。